リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

第21弾 黒崎 真希さん(株式会社BLUE DIRECTION)

結婚式を本当に価値のある1日にすること。GOOD WEDDING AWARDはブライダル業界みんなが繋がれる場所。 自身が担わせていただく意味を問い続ける

  • 第14回目のGOOD WEDDING AWARDでクリエイティブ賞を受賞

出身地:北海道/活動拠点:全国

2008年~ 国内結婚式場でウエディングプランナー及びマネージメント業務に従事
2018年~ 会場や形式にとらわれないフリーランスプランナーとしても活動を開始
2023年~ 株式会社BLUE DIRECTION 設立

事業内容
・結婚式、イベント、フォトウエディングプロデュース
・ウエディングコンサルティング
・大切なお花を未来に残すプレス&レカンフラワー事業COCOFLO(ココフラ)の運営

現在は北海道札幌市を拠点に、1000件近くの結婚式やイベントプロデュースしてきた経験を活かし、人材育成、セミナー講師、商品開発等のコンサルティング業務も手掛けつつ、固定概念に捕われず、ふたりの最適を一緒に考え道標を標すパートナーとして、改めてウエディングに向き合いたいと思い、フリースタイルでプロデュースを行う“ブルーディレクション”を立ち上げ活動しています。

プランナーの仕事を目指したきっかけ

「ウエディングの仕事に就きたい、プランナーになりたい」が、スタートではありませんでした。
社会人1年目から営業職を経験し、次のステップに進むことを決意し転職を迎え、ご縁あって出逢ったのが結婚式。当時、明確な将来の夢を持てていなかった私は、お恥ずかしい話ですが、華やか楽しそうと軽い気持ちで足を踏み入れた業界でした。
これが、結果的に「印象に残った経験」にも繋がるのですが、そんな最中迎えたプランナーとして初めて担当した結婚式。
2008年9月、何年この仕事をしていても鮮明に覚えています。
沢山のサポートをいただきながら無事お披楽喜を迎える間近、沢山のゲストがいる中で、新郎新婦が先輩スタッフと何か話している様子。私は何かやらかしてしまったのではと不安な気持ちを抱えつつ、ただ壁面に立ちすくんでいました。
そして新郎新婦から声をかけられ向かった先には「本当にありがとうございました」と涙を流し、声を震わせながら、精一杯感謝を伝えてくださる新郎新婦の姿がありました。実は私へのサプライズを計画してくださっていたのです。
私の目にも無意識に涙が溢れてきたことをよく覚えています。

世の中の大半の方々が何らかの商品をお客様に提供(販売)して生活をされていると思います。
私も社会人1年生から営業職として、お客様が商品をご購入された後は、ありがとうございます!と感謝の最敬礼でお礼をして当たり前に日々を過ごしていました。
でも今、目の前では、まるで真逆の出来事が起きている。
さらに、カタチなき記憶という、購入難易度の高い商品を、信頼で買ってくださっているも関わらず、感情をあらわにして、お客様側から、溢れる感謝をいただいている。

もしかすると私は、自分の想像を越えた素晴らしいものに出逢ったのもしれないと思いました。
それから、もっと貪欲で自発的にウエディングやプランナーに向き合ってみようと想い、コツコツと歩み、気付けば17年。
今も尚、もっと挑戦したいし成長したい…という気持ちが増え続けています。

そしてこの経験を通し、微力ながら私に伝えられることがあるとしたら「きっかけは何でも良い」ということ。
強い志が初めからあってもなくても、表層的な自分の意識ではなく、少し深く知る努力をすることで、出逢えるものが人生にはあるのだと思います。
仕事も結婚式も、人として歩む過程で起きる選択は、ある意味似ているのかもしれません。

本当の意味でプランナーを目指すことができたことも、今もこうして頑張れていることも、初めて担わせていただいた結婚式との出逢いがあったからだと思っています。

ご自身の仕事にかける流儀・思い

「結婚式」というものに対し、数えきれないほど多くのプランナーや式場があり、数ある中で、私にその機会を与えてくださった意味を問い続け、体現し続けなければならないと思っています。
だから私は、知らぬ間につくられていく常識や形式はなく、「本当はどうしたいのか」をお客様自身が考えて納得した選択をしていけるように、二人を知り、提案を惜しまぬことを大切にしています。
決して奇抜なことをするという意味でもなく、私たちクリエイター側のエゴでもない。
パッケージではなく 二人の形で祝うことが本当にあるべき結婚式の姿だと思っているからです。
そして感情をとても大切にする出来事だからこそ、あえて抽象的な想いだけではなく、少しロジカルな目線で俯瞰して、お客様が自身の想いを受け止め、冷静に考えられるよう、整理しながら打合せや資料作りに望むことも大切にしていることの一つです。

私はウエディングに出逢い、多くのお客様に出逢い、人生が変わりました。
だから「わからない」ことで素敵な出来事を逃したり、前進できず考えてる間に疲れている人がいるとしたら、私が背中をおすきっかけを創り、道標のような存在になりたい。そこには環境や入籍、性別も関係ありません。
少しでも結婚を祝うチカラになれたら嬉しいなと思います。

色々と少しカッコつけてしまいましたが、結論、この仕事がとても好きだし、これしかできませんので、シンプルにこの道を極め続ける。これが自分らしく、結果お客様により良いものを還元することに繋がると信じ行動かえていくことが、最大の流儀なのではと思います。
沢山考えて準備きたことが、笑ったり泣いたりという表現でカタチになり、それを目の当たりにできることが一番嬉しいし幸せなので!

GWA受賞後の変化(ご自身・周囲)

頭ではわかっているのに、つい忙しい病にかかってしまい、勝手に自分を正当化して、+α一歩踏み出す気持ちに蓋をしてしまう。沢山のお客様を担う中で、少し立ち止まって振り返ることも、日常の中ではなかなかできない。
こんな思いを繰り返しながら歩んでいた経験があります。
GWAを通して変化を感じさせていただいたことは大きく3点。
一つは日々、打合せの度に沢山のプレゼンを繰返してきたのですが、伝えるのではなく、伝わることの難しさを改めて学んだこと。二つ目は、感情や行動を、言葉にして可視化することの大切さを、実感値をもって再認識できたこと。
そして一歩踏み出す「勇気」を出す事で、これまで見えなかった景色にまた一つ出逢えたことです。

何気なくできているつもりになっていたプレゼンも、いつの間にか伝えることが目的となり、一方通行になっていたかもしれないと背筋が伸びる想いを味わうことで気づくことができました。
また、夏に冬を見据えて未来を計画していくような独特な時間軸と、カタチがないという特徴をもつウエディングの仕事は、その準備過程の中で、いかに具体的なイメージを掴んでいただけるかが大事な要素の一つです。
「伝わる」ことを目的に、約半年間の記憶をたどり、そのプロセスや想いを蘇らせながら、何度もブラッシュアップを繰り返していく実体験は、まだ見ぬ結婚式を共に考えていくお客様とのコミュニケーションと重なり、他者に考えを理解してもらうことの重要性を考えさせていただく学びとなりました。
準備過程では沢山の方に客観的なご意見をいただくことで、伝わり方の違いや構成など物理的学びを得るとともに、心温まる応援の言葉からも多くの勇気をいただいた気がします。知人や関係者の皆様はもちろんですが、このプレゼンを聞いてくださった全国の方々からも有難いお声を沢山いただいたことで、信じて歩み続けてきたことを肯定してくださったような気持ちで、今も励みとなりチカラをいただいています。
限られた時間の中に+αを加えることは勇気が必要です。でも思い切って一歩踏み出したから、それ以上に得られるものが多くあり、限られていたと思っていた時間の思考や行動をアップデートさせることができるのだと思います。

関わってくださった皆様への感謝を胸に、介在価値を体現していけるよう、これからも邁進してまいります。

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