リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

結婚担当研究員: 星野 沙穂

二人で向き合う時間が増える今こそ、結婚生活に向けた話し合いのチャンス

リクルートブライダル総研では、「結婚」に関わるマーケットの活性化・拡大を行う取り組みを行っています。今回はそんな取り組みのひとつである『結婚&家族生活はじめるBOOK』という冊子から見えてきた「結婚における夫婦の話し合いの重要性」について書いてみたいと思います。

『結婚&家族生活はじめるBOOK』とは、「幸せなフタリ」を応援する活動の一環として、一般社団法人 結婚・婚活応援プロジェクトから委託を受けて作成をしている冊子です。
「家事分担はどうする?」「家計管理はどうする?」など、夫婦になったタイミングで話し合っておきたい内容が約20ページにわたって紹介されており、全国各地の約1,100の市区町村の婚姻届の窓口等で約42万部配布されています。

そんな『はじめるBOOK』の実態を把握するために、毎年調査を行っているのですが、今回は、コロナウイルス感染症の影響は、どのようなものだったのか、その調査結果から考察していきたいと思います。婚姻届を入手、または提出した人のうち、婚姻届を提出する時期の延長を検討した人は、コロナが流行する緊急事態宣言前(2019年12月~2020年2月)では35%だったのに対し、コロナが流行し始めた時期(2020年3月~5月)では40%、緊急事態宣言後(2020年7月~9月)では52%と、時間が経過するにつれて増加しています。検討の結果、予定通り提出した人ももちろんいましたが、多い時には半数以上の人が提出時期の延長を検討していました。またコロナの影響によって、結婚に対する意識や行動に影響があったと回答した人は65%。どんな影響があったのかを見てみると、最も高いのが「両親への顔合わせを延期・キャンセルした」で25 %、続いて「結婚式を延期・キャンセルした」で19%、「結婚式を行う意味を考えた」で14%という回答でした。
コロナ禍では外出機会や人と会う機会がどうしても制限されますが、婚姻届の提出という人生のターニングポイントにおいても、それは例外ではなく、さらには帰省の自粛呼びかけも影響しているのか、両親との顔合わせ機会も制限されているというのが実態のようです。実際に私の周りの結婚する友人をみても、ファーストステップである親御さんへの挨拶がセッティングできず、結婚準備がなかなか進まないという声が散見されました。

しかし、視点を変えてみれば、“検討する”という行為はもしかしたら“向き合う時間が増える”ということなのかもしれません。コロナがなければ、当たり前のように必要事項を記入して捺印して提出する、という決められた流れをなぞるだけだったかもしれない“婚姻届提出”という儀式が、そこに“検討する”というステップが加わることで、より結婚そのものに対する覚悟が決まり、提出することへの意義が増すようになった人もいると思います。
また婚姻届の提出や顔合わせのタイミングについて、ある意味、強制的に考えざるを得ない環境に置かれることは、きっとその後の結婚生活の糧となる貴重な機会になるのではないでしょうか。もちろんなぜこのタイミングでという残念な想いもあるでしょうし、結婚をめぐるイベントには制限も出てきてしまうかもしれません。しかし正解がないからこそ、二人で納得いくまで話し合って答えを出すというプロセスは、今後、結婚生活において何か重要な判断をする時、困難にぶちあたって解決策を探る時、きっと活きてくるのではないかと考えます。コロナで生まれたこの時間を、夫婦での話し合いのチャンスに変えていただけたら、結婚生活もより充実したものになっていくのではないでしょうか。

※『結婚&家族生活はじめるBOOK』特設サイトはこちら

※ データは以下より
『結婚&家族生活はじめるBOOK カスタマーアンケート調査』
『結婚&家族生活はじめるBOOK 読者アンケート』
(リクルートブライダル総研)

担当研究員
研究員星野 沙穂(ホシノ サホ)
神奈川県出身。広告代理店のマーケティング職を経て、2019年に入社し、現職に従事。
トレンド調査や恋愛・結婚調査などの各種調査を担当。