リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

恋愛にも、いま求められる“セーフティ―ネット”。
今後、その存在はより強固なものになっていく?

 前回コラムで、先の見えない不安定な時代だからこそ、家庭にはこれまで以上に“セーフティ―ネット”としての役割が求められるのかもしれない、と書いた。今回については、視点を家庭から恋人に移して「恋愛・結婚調査2019」をみていきたいと思う。

 まず20~40代未婚男女の「恋人に求めるもの」は「人柄の良さ」(79.7%)と「性格が合うこと」(69.8%)が2大要素となっており、“内面性”を重視していることがうかがえる。また「恋愛がもたらす良いこと」としては「自分に自信が付く」(44.9%)、「毎日が楽しく過ごせる」(42.2%)、「自分を磨こうと思える」(40.6%)が高くなっており、恋愛は“日々のモチベーション”になっていることがわかる。さらに「恋愛に対する考え」としては「恋愛には相手との信頼感が大事だと思う」(76.8%)、「恋愛はお互いに成長していくものだと思う」(65.2%)が高くなっており、恋愛のポイントは“信頼感”や“成長”であるといえそうだ。内面性を見て気の合う相手と恋愛をすることで、信頼関係が生まれるし、お互いの成長や自信にもつながる。そしてその存在こそが日々のモチベーションを生み出す、ということだと思う。決して派手だったり、気持ちの浮き沈みのあるジェットコースターのような恋愛をしたいのではなく、地に足のついた、でもじわじわと着実に日々の生活を豊かにしてくれる、そんな恋愛が求められているのではないかと思う。
ちなみに「最も多い普段のデート」としては「カジュアルなレストランでの食事」(18.9%)、「お互いの家」(16.7%)が高く、自然体に相手と過ごしたいという意向がみてとれる。“セーフティネット”としての役割は家庭だけではなくその手前にある“恋人”にも求められ、その存在は不安定な時代を生きていく上で、大切な日々の原動力になるのではないかと考える。

 さらに今年は新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、私たちはステイホームを余儀なくされた。まさに先の見えない不安定な状態であり、その不安は今も拭い去ることはできていない。しかし、その不安と自粛期間によって、私たちは自分にとっての“セーフティ―ネット”を否が応でも実感させられ、その存在は自分の中で、より強固なものになってきているのではないかとも思う。

 例えば恋人については、どうしても外出がままならずオンラインでコミュニケーションをとることが増えたのではないだろうか。オンラインで会うことは、実際に飲食を共にしたリ、出かけたりというデートに比べて物足りなさは感じるだろうが、むしろオンライン下でもわざわざ時間を合わせて会うこと自体や、スムーズにコミュニケーションを取れるといった経験を通して、お互いの愛情や絆を実感することもあったのではないか。そして再び恋人とリアルにデートできるようになった時、その喜びは倍増し、絆も深まるのではないかと想像する。

 上記はあくまでも一つの予測にすぎないが、今後、時代が変化する中で家庭や恋人が自分にとってどのような存在になっていくのか、そしてその中で結婚や結婚式がどうなっていくのか、引き続き検証を行い、動向を見つめていきたいと思う。

※出典:
『恋愛・結婚調査2019』(リクルートブライダル総研)

担当研究員
研究員星野 沙穂(ホシノ サホ)
神奈川県出身。広告代理店のマーケティング職を経て、2019年に入社し、現職に従事。
トレンド調査や恋愛・結婚調査などの各種調査を担当。