「令和」という新しい時代を迎えて早半年以上が経過。平成の30年間で平均寿命は約5歳伸び、平均初婚年齢は約3歳高まり、共働き世帯が専業主婦世帯を上回って、全世帯の3分の2を占めるまでになった。そしてその変化を肌で感じるようになった。今後、2025年には団塊世代が75歳以上の後期高齢者となり、日本は超高齢化社会へと突入する。現役世代への負担はますます重くなり、純粋に“働きたい”という意欲に加え、“働かざるを得ない”という事情も伴って、共働き世帯はますます増えるであろう。もちろん明るいニュースもたくさんあるし、多くの夢を描きたいが、先が見えない時代であることは確かであり、その中で夢と現実との折合いをつけながら、一歩一歩前に進んでいきたい、というのが正直な気持ちではないだろうか。
そんな時代の中で“結婚”に求めるものは果たして何なのだろうか。平成の初期の頃には結婚することが一人前の証であり、結婚することが幸せの象徴でもあった。しかし、もはや結婚適齢期という概念は古く、結婚した女性の結婚を決めた理由としては「親・親族から勧められたから」は2.6%、「するのが当たり前だから」は4.5%に留まる。一方で依然として高いのは「相手と一緒に将来を生きたかったから」(77.4%)、「相手と一緒に生活をしたかったから」(59.8%)。結婚することは、社会や親に決められるものではなく、あくまでも自分で選ぶ“選択”になってきていると同時に、結婚における社会的要素が薄まった結果、“相手と一緒にいる”という普遍的要素がより強まっているのではないだろうか。
この傾向は未婚者においてもみられる。結婚したい理由のトップは「好きな相手と一生一緒にいたいから」(62.4%)、続いて「自分の家庭を持ちたいから」(57.2%)となっており、結婚した女性同様“相手と一緒にいる”ことが結婚の理由となっている。
また結婚観としては「結婚してもお互いを尊重すべきだ」(79.0%)が最も高く、以下「結婚しても個人として自由に使えるお金が欲しい」(72.8%)、「家事はふたりで分担して行うべきだと思う」(68.4%)と続いている。
さらに結婚相手に求めるものとしては「人柄の良さ」(74.2%)、「性格が合うこと」(59.8%)、結婚を決意する条件としては「相手の価値観がよくわかったら」(70.4%)、「結婚を考えられる相手とある一定期間以上付き合ったら」(66.9%)が高い。
これらのデータを踏まえると、結婚に求めるものは案外シンプルで“好きな相手とずっと一緒にいる”ことのようだ。そしてそこに、適度な自分の自由度を保ちつつ、シェアできることはシェアしたいという、結婚相手との“イーブン”な関係を加えて、結婚生活をイメージしている。そして、そんなイーブンな関係を築くためには、相手選びの際、外部環境に左右されない本質的な“人間性”や“価値観”が重要視されるのかもしれない。さらにリスクを恐れる今の若年層にとっては、結婚前に一定期間付き合って、そういった相手の本質を十分に知ることも重要視しているのではないだろうか。
先の見えない不安定な時代だからこそ、社会という荒海で頑張る船を向かい入れる港のように、家庭にはこれまで以上に“セーフティーネット”としての役割が求められるのかもしれない。夫も妻も一人で何もかも頑張るのではなく、夫婦二人・また家族みんなで頑張り、大変なことも楽しいこともシェアする、という向き合い方が大切なのであろう。そして夫婦や家族としての絆を確かめ合い、自分たちらしい“新しい家族”を作っていく。そんな結婚スタイルがこれからどんどん広がっていくのではないだろうか。
※データは『ゼクシィトレンド調査2019』『恋愛結婚調査2019』より