リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

結婚担当研究員: 金井 良子

夫婦関係を良くする秘訣は、「対話の方法」にあり。
「批判」と「非難」の違いとは?

 前回のコラム(「夫は意外に「結婚してよかった」「奥さんかわいい」と思っている!?夫婦満足度を上げる秘訣とは。」)では、男性にできる「夫婦満足度向上の秘訣」について書いたので、今回は妻側の目線で考えてみたい。

40代で反転し、妻側が低くなる「夫婦関係満足度」

 前回も触れたように、『夫婦関係調査2019』にみる夫婦関係の満足度は、全世帯平均で夫が70.2%、妻が66.7%と、夫のほうが3.5ポイント高い。実は20~30代までは妻のほうが高いのだが、40代を境に逆転、その後その差が開き、60代には夫75.7%、妻66.9%と、その差は8.8ポイントにもなる。

 同時に、妻の「夫婦の関係をもっとよくしたい」という気持ちも、30代の57.7%をピークに、40代には41.8%へと一気に約16ポイントも下がってしまう。そして、その代わりに「現在の関係に不満はあるが、変えたいとは思わない(あきらめている)」と答える妻が、30代7.9%から40代17.7%とほぼ倍増するのである。この妻の「30代と40代の境」に注目してみよう。

 厚生労働省『人口動態統計』によると、女性の平均初婚年齢は29.4歳(2018年)なので、妻「30代と40代の境」には、結婚10年目前後の夫婦が多いことが想定される。子供がいれば、ちょうど小学校に入学し、少し手が離れ始めた頃の夫婦も多い。言いかえればそれまで、特に女性は結婚・妊娠・出産・育児・復職・子供の就学、時に二人目の誕生・・・と、環境も自身の身体も働き方も何もかもが目まぐるしく変化し続けてきた。その中で夫に家事や育児、自身のキャリアや将来について相談することもあっただろう。しかし、女性と比べると変化感の乏しい男性からは、期待する反応や対応が得られないことも多い。その中で不満を募らせながら、次第に諦めていく・・・そんな図を想像することができる。

30代男女間の、「夫婦関係への希望」ギャップ

 『夫婦関係調査2019』で「夫婦関係をもっと良くしたい」と考える30代夫婦に、その内容を聞いた結果、妻と夫との間でギャップが大きかった上位5項目を取り出したのが以下の表である。

■夫婦関係への希望(どのようになったらうれしいか」)
(既婚者「夫婦関係をもっと良くしたい」選択者/夫・妻、複数回答)

<妻の方が要望が多い上位5項目> (%)

【夫】30代 【妻】30代 差(妻-夫)
家事・育児の分担を見直したい 9.7 27.1 17.4
もっと気持ちや本音を素直に伝えあいたい 26.5 40.3 13.8
もっとイベント・記念日を大切にしたい 6.4 19.4 13.0
もっと将来のことを一緒に話し合いたい 27.3 38.7 11.4
家事・育児の負担をもっと平等にしたい 6.9 17.7 10.8

<夫の方が要望が多い上位5項目> (%)

【夫】30代 【妻】30代 差(妻-夫)
セックスの頻度を増やしたい 29.0 16.4 12.6
夫婦で楽しめる趣味を持ちたい 37.2 27.5 9.7
お互いのことをもっと知りたい 18.1 11.7 6.3
セックスレスを解消したい 21.2 17.1 4.1
もっと相手の愛情を感じたい 20.9 16.9 4.0

明らかに、夫と妻で問題意識の持ち方が異なることがわかる。妻は切実に夫に率直な会話や課題解決のための対話を求めているのである。

夫婦関係を向上させる対話方法とは

 では、どうすれば感情的な対立や無関心を遠ざけ、建設的な対話ができるようになるのだろうか。状況に応じてすべての夫婦に当てはまるわけではないかもしれないが、知人の臨床心理士にアドバイスを貰い、私自身が実施して効果を実感しているコツがあるので、ご紹介したい。

まず大切なのは、相手の『行動を批判』することはあっても、『相手を非難』しないことである。相手の誤りを指摘して改善を促す『批判』に比べ、『非難』は相手の誤りを相手ごと責めること。『非難』されると、自分自身を否定・軽蔑されたように感じ、感情的になりやすいそうだ。

例えば、
 「子供を見ててって言ったのに、ゲームしてたら、目を離した間に怪我してしまうでしょう?」
までは行動への『批判』でも、
 「なんであなたはいつもそうなの、だからダメなのよ」
は相手への『非難』となり、喧嘩や逃避に繋がってしまう。こうなると、そもそも対話がスタートしない。

もうひとつは、自身を主語にした「アイ(i)メッセージ」で語ること。

「子供を見ないでゲームをしてたこと、『私は』とても悲しかった」
「こんな風にしてもらえたら、『私は』とても嬉しい」

 ただ相手を責めたり、「べき」論で語るよりも、自身の感情を素直に載せて相手に伝える方が、確かにメッセージがまっすぐに届きやすいように感じる。
特に前表にもあるように、30代男性は妻に関心を持ち、「もっと相手の愛情を感じたい」と思っている。例えば、「夫として・父としての責任や義務」としてではなく、「愛する人への期待」として伝えることができたら、妻の気持ちが届き、対話が始まると同時に、夫側の夫婦関係満足度も向上するのではないだろうか。

※データはすべて『夫婦関係調査2019』より

担当研究員
研究員金井 良子(カナイ ヨシコ)
兵庫県出身、1993年株式会社リクルート入社。
リクルートにて「じゃらんnet」「ゼクシィnet」など数々のネットサービス立ち上げと運営に携わる。2004年10月より「ゼクシィnet」編集長、2010年4月より現職。「GOOD WEDDING AWARD」運営責任者や「ブライダル専門家」としてテレビ番組でのアドバイザーを務める。