日本の夫婦って、なんだか「隠微」である。辞書で『隠微』を引くと、「表面には現れにくい微妙なこと。隠されていて、かすかにしかうかがえないさま」とある。確かに夫婦関係というのは面倒くさそうで、でもどこか楽しそうだ。隠されると知りたくなってしまう私は、2011年より「夫婦関係調査」をスタートさせ、今年(2019年)で5回目を重ねた。まず今回は男性視点の夫婦満足度向上の秘訣を探ってみる。
この調査を通じて感じたのは、「意外に旦那さんて、年をとっても奥さんのこと好きなのね」ということだ。最新の2019年調査では、夫婦関係満足度は夫全体で70.2%、妻全体で66.7%と夫のほうが3.5ポイント高い。年代別にみると、40代を境にこの差は広がり、なんと60代では夫75.7%、妻66.9%と、その差は8.8ポイントにもなる。
また、いつ「現在の配偶者と結婚してよかった」と思うかについて聞いてみたところ、興味深いことがわかった。「配偶者が格好いいな、かわいいなと感じるとき」という回答が、夫の20代~50代までの全てのランキング2位以上に入っていたのだ(一方、妻側のランキングには、全年代を通じてこの項目はベスト3には現れない)。
日本の男性は外ではあまり妻の話をしないし、ましてや「うちの奥さんかわいいんだよね」なんてことは言わないが、実は意外に「結婚してよかった」「奥さんかわいい」と思っているのだ。
しかし、おそらくその気持は、肝心の妻にはあまり伝わっていない。夫婦関係に不満足な妻の希望のベスト3は「もっと夫婦で会話をする時間を増やしたい(41.3%)」「もっと気持ちや本音を素直に伝えあいたい(32.1%)」「もっと将来のことを一緒に話し合いたい(31.0%)」である。必要な会話や対話が足りていないのだ。
ちなみに夫の夫婦関係不満足者のベスト3は「もっと夫婦で会話をする時間を増やしたい(42.7%)」「もっと夫婦二人で出かける機会を持ちたい(31.7%)」「夫婦で楽しめる時間を持ちたい(30.1%)」。大好きな奥さんと一緒に活動したい気持ちはわかるが、もしかしたらお互いに、その前に必要なコミュニケーションがあるのかもしれない。
妻の「夫婦の関係をもっとよくしたい」という気持ちは、30代の57.7%をピークに、40代には41.8%へと一気に約16ポイントも下がってしまう。「育児が落ち着いたら」なんて思わずに、今、素直な気持ちを交換しよう。隠微さも魅力的だが、夫婦ふたりの楽しそうな様子が外からも見えることこそが、若い世代に「結婚ていいな」と思ってもらえるひとつのきっかけになるのではないかと考える。
※データはすべて『夫婦関係調査2019』より