リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

結婚担当研究員: 星野 沙穂

結婚式は“人生を見つめ直すきっかけ”へ。
“人生のサポーター”を得ながら前向きに結婚生活を始めるための場となりつつある。

 私たちは人生を生きる中で、果たして自分の人生を振り返ったり生き方を考えたりする機会がどのくらいあるのだろうか。例えば私の人生を振り返ってみると、まず思い出されるのは就職活動。セミナーでは“ジコブンセキ”と“ジコピーアール”という言葉が呪文のように繰り返され、半ば強制的に人生を振り返ることとなった。しかしそこで人生を振り返ったことは、今後自分が何をしたいかを考える機会にはなり、AなのかBなのかで迷った際の一助にもなった。

 実は近年、“結婚式”が人生を見つめ直すきっかけになりつつあることをご存知だろうか。「結婚式は人生を振り返り、自分の生き方を再認識する場だ」と思う割合は67.6%と2015年調査から3.7ポイント増加し、6割以上で推移している。特に29歳以下の若年層ではその割合が高くなっており、今後ますますその割合が高まる可能性があると捉えている。
なるほど確かに結婚とは間違いなく人生の節目であり、結婚式という場は親や親族、友人や職場の上司・同僚など、これまでの自分の人生を支えてくれた人たちが一堂に会する数少ない機会である。人生を見つめ直すきっかけにはなりやすい。

 実際、データで見てみると、列席者へ結婚を誓い証人になってもらう「人前式」を選択する割合は27.8%と、2010年調査から6.8ポイント増加。挙式の演出では親の卒業セレモニーともいえる「ベールダウン」の実施率は71.1%で、2010年調査から実に47.9ポイント増加しており、「列席者の子どもにリングボーイ・フラワーガールを務めてもらう」も31.5%で、2010年調査から8.7ポイント増加している。また披露宴の演出では「テーブルごとに写真撮影」が64.9%で2010年調査から6.7ポイント増加しており、結婚式全体を通して列席者との関わりがより見られるようになっている。列席者の顔を見て想いを募らせることで、これまで歩んできた人生を自己肯定できる機会となっていたり、直接、列席者から言葉がけをしてもらうことで、結婚という選択を応援してもらう時間になっているのではと考える。

 また人生を支える側である“親”についても、新郎新婦との関わり方に変化が見られる。
結婚式の準備から当日を通じて親がうれしそうにしていたことにおいて、2013 年調査比較で増加している項目は「当日に向けて、自分がきれいになっていく姿を見せることができたこと」(16.5%)で5.2ポイント増加。また「社会人として成長した自分を見てもらえたこと」(43.5%)も4.5ポイント増加している。一方で、2013年調査比較で減少している項目は「引出物を一緒に考え、選んだこと」(13.1%)で8.8ポイント減少、「ドレス・衣裳を親と一緒に選んだこと」(50.0%)で8.5ポイント減少となっている。親にとっての喜ぶポイントは “準備に直接関わること”から“新郎・新婦の様子を通じて成長した姿を見守ること”へと変化しつつあり、あくまでも主体者は結婚するふたりだが、そっと陰から応援したいという気持ちが垣間見える。

 結婚とは相手と新しい生活を築いていくことであり、そこには当然育ってきた環境やライフスタイルの違いもあるし、楽しいだけでなく、辛く困難な道になることも予想される。しかし結婚式という場を通して人生を見つめ直すことができれば、自分は納得して相手を選び結婚生活を送るのだと、ある意味覚悟が決まり、次の日からの新しい生活を前向きに始められるのではないか。これまで人生を支えてくれた人たちは引き続き“人生のサポーター”であり続け、これからの道も応援してくれる。そう思うと大変心強い。
結婚や結婚式というものをどう考えるのか。サポーターの一つ、と言うにはおこがましいが、一人でも多くの花嫁が幸せな結婚式・結婚生活が歩めるよう、これからも考え発信していきたいと思う。

※データはすべて『ゼクシィトレンド調査2019』より

担当研究員
研究員星野 沙穂(ホシノ サホ)
神奈川県出身。広告代理店のマーケティング職を経て、2019年リクルートマーケティングパートナーズ入社。
トレンド調査や恋愛・結婚調査などの各種調査を担当。