リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

マリーアントワネット・in・ワンダーランド

テーマウエディングで、私らしさを見つけ
表現することで、輝き続けることができる。

小久保 香織(こくぼ かおり)さん
愛知県・サーウィンストンホテル

プランナー歴4年。もしゲストの中に「私は結婚式なんてしなくていい」と思っている方がいたら、そこで自分らしく輝いている新郎新婦を見て、「絶対に結婚式をしたい」と思っていただきたい。そんな思いでテーマウエディングを提案し続けている。

伝わりにくいテーマであれば、伝わるように表現すればいい。

 その新婦のペースにとことんあわせる優しい新郎。自己主張は強いタイプではないけれど、ご自分らしさを大切にしている、そんな二人の結婚式には、二つのテーマがありました。新婦あこがれの映画「マリー・アントワネット」の世界、そして新婦の大好きなお話「不思議の国のアリス」です。実はこのテーマに対して多くのスタッフから懸念の声があがりました。若い女性にしか伝わらないテーマなのではないか。実際、列席者として両家の親族や職場の上司もお招きしています。でも、伝わりにくいテーマなのであれば、伝わるように表現すればいい。テーマパークのように、キャラクターや物語を知らない方でも、音楽や映像、ストーリーテラーなどの仕掛けを通じて、いつの間にか主体的に楽しんでいる。私はこれと同じ仕掛けをしたのです。

一つ目のテーマ「マリー・アントワネット」は、ドレスや装花、アールデコを意識したオリジナルウェディングケーキ、乾杯用のシャンパンで表現。もう一つのテーマ「アリス」は、物語の世界を再現しつつ、ゲストが自ら参加して楽しめる仕掛けに。

物語のシーンを再現しつつ、ゲストも参加できる演出を。

 まずは司会者にストーリーテラーになりきっていただきました。新郎新婦の入場前、ストーリーテラーが話しかけます。「それでは本日のお二人のウエディングパーティーのテーマでもある不思議の国のアリスの世界をお楽しみいただきます。ストーリーはご存じの方も多いかと思いますが、主人公のアリスが白いうさぎを追いかけて穴の中に飛び込んだところからはじまります。そこはとても奇妙な世界でおかしなことが次々とおこり、アリスは無事お家に帰ることができるのか、というお話です。もしかしたら皆様もすでに不思議の国に迷い込んでいるかもしれません。時計をもった白いうさぎがホテル館内のどこかにいるのをご覧になった方、いらっしゃるのではないでしょうか。」ここでゲストの頭に浮かぶのは、挙式へ向かう際に、何気なく目にし ていた白うさぎ。時計を首から下げています。物語の時計うさぎと同じように、ゲストを世界へいざなう仕掛けです。
 テーマBGMが流れて二人が入場。その後もテーマにそって様々なBGMが流れ続けます。演出は続きます。ゲストには物語のトランプ兵になりきっていただき、白いバラの花を赤く染めるアクオルテの演出を体験していただきます。実は赤く染められないハズレのテーブルもあり、ハートの女王にしかられ、罰ゲームをして頂くサプライズも仕込みました。
 デザートビュッフェではチェシャ猫カラーのロールケーキやトランプ模様のティラミス、ウサギのムース、時計クッキー等、アリスをイメージする内容に。一緒に可愛らしくデコレーションされた帽子、ハットビュッフェもご用意。みんなマントハットになりきって、色とりどりの紅茶を楽しみます。ここで座席表を確認いただき、時計うさぎのスタンプが押してあるゲストは大当たり!アリスのティーパーティーへ一足お先にご招待。「へんてこ帽子」をかぶって、新郎新婦との記念撮影です。こうして気づけば、ゲストが自ら参加し、楽しんでいる、そんなテーマウエディングになったのです。

二人が用意したトランプカードにメッセージを記入。気づけば主体的にアリスの世界を楽しんでいます。

テーマの世界を表現するために、分業体制からトータルプロデュースへ。

 ここまでテーマの世界を表現するには、プロセスチェンジが必要でした。それまでは専門スタッフへ任せていた衣装選びやBGMの選曲、司会原稿の作成、スイーツのデザインまで、すべてにプランナーである私が携わりました。そして今までは新郎新婦にお任せしていた演出アイテムの作成も一緒に行ったのです。このトータルプロデュースの成果は、社内にもある変化をもたらしました。すべてのスタッフからその人らしい提案ができるように、またパートナーの枠組みを超えた提案が可能になるように、会社をあげての仕組みづくりが始まったのです。

結婚式で、自分らしさを見つけてほしい。

 女性は「これが私なんだ!」と思った瞬間が一番かわいい。現場でいつも思うことです。だから結婚式によって、自分らしさをみつけてほしい。女性は結婚して妻となり母となるにつれ大切なものが増えていきます。そんな中で、自分はこんな人間、これが好き、と改めて考え、それを表現する機会はほとんどありません。結婚式を通じ自分らしさを見つけて表現できれば、妻になっても母になっても一人の素敵な女性でありつづけられるはずです。だからこそ、テーマウエディングは必要だと思うのです。

審査員の目

 何故テーマウエディングをするのか、それは「これから先の人生をより自分らしく素敵に生きていただくため」。そんな強い信念があるからこそ、小久保さんは会社の打合せプロセスを変えてまで、全力で取り組むことができたのでしょう。テーマウエディング自体が手段ではなく目的になりがちな昨今、改めて目を見開かされる発表でした。(2012年10月22日更新)