近年、「未婚化」が進行し、出生率も低下、少子高齢化の一途をたどっているが、一方で、「結婚したい」と思う割合は男性が85.7%、女性は89.3%と、変わらず多くの未婚者がいずれ結婚することを望んでいる。ひとくちに「結婚したい」といっても、その意味合いは変化してきている。1985年ごろは、50歳時点での未婚率が男女とも4%程度で、結婚することが当たり前であり、そのため、周囲と比較して「結婚したい」と考える人が多かったのではないだろうか。2015年になると、50歳時点での男性の未婚率が20%を超え、女性の未婚率も上昇し、「結婚しない」ことも生き方の一つとして受け入れられ始めている。そんな現在においての「結婚したい」には、周囲との比較ではなく、より自身の自律的な選択による思いが込められていると考えられる。
また、「結婚」がより自律的な選択になった今、結婚の意味合いも変化してきている。弊社調査によると、結婚を決めた理由において最も多いのは「相手と一緒にいたいと思ったから」であり、その割合は増加傾向にある。「夫は仕事、妻は家事・育児」という役割ではなく、より強く精神的なつながりを求めるようになっている。最近では、「多様化」という言葉が浸透し、価値観や生き方が人それぞれであることが許容されてきている。言い換えれば、自分で考え、生き方を決めることが必須となっていると言える。
最近の芸能人の結婚会見などをみても、結婚相手からの共感や肯定感を感じていることをうかがわせる言葉も多いように思う。人それぞれ生き方の選択肢が無数に広がり、自律的選択が求められているからこそ、結婚には、生き方・考え方への共感や相手からの肯定感を強く求めるように変化しているのではないだろうか。
※出典:
国立社会保障・人口問題研究所 「第15回 出生動向基本調査」および「人口統計資料集」
結婚総合意識調査2018(リクルートブライダル総研調べ)