リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

幸せの化学反応 ~新婦を支えてつながって、みんなが幸せになりました。~

新婦のために。家族とゲストとスタッフの心が
一つに繋がった時、幸せの化学反応が起きる

倉戸 由香里(くらと ゆかり)さん
浦安ブライトンホテル東京ベイ(千葉県浦安市)

プランナー歴2年。大切にしているのは聞くこと。何気ない会話の中に二人らしい結婚式を創るヒントが隠れているので、気持ち良く話してもらえるよう聞き役に徹している。

「感謝の気持ちを伝えたい」。言葉の裏には特別な想いがあった

 それは二人と初めて打合せした時のこと。新婦は明るく元気に「とにかく感謝の気持ちを伝えたいんです」とおっしゃいました。あまりに力強い言葉に、何か特別な理由があるのではと感じたのを覚えています。
 お話を伺ってみると、新婦は心身共にとてもデリケートであることが分かりました。急な回答を求められたり、大きな声やざわめきが聞こえたりすると混乱を招かれる症状をお持ちでした。また、長く療養生活を送っていたこともあったそうです。そのような苦しい時にも、心配し支え励ましてくれた家族や友人に、結婚式で幸せな姿を見せることで感謝を伝えたい…「感謝」という言葉の奥にある新婦の想いを知り、心打たれた私は、何とかこれを形にしなければという一心でした。
 その後の打合せは、必ず静かな奥の席を用意。声のトーンにも気をつけてゆっくり話すようにしました。二人が迷わず短時間で決められるように、こちらから提案することを心がけ、あらゆる面で新婦のペースに合わせて進めるようにしました。

二人の「プレフォト(前撮り撮影)」の日、順調に撮影が進み、最後の写真を撮る場所を決めることになった時、新婦は「私達の指定席!」と毎回使っていた、打ち合わせスペースのテーブルを選ばれました。新婦に私の想いが通じていたのだと実感できた瞬間でした。

共同作業を積み重ねるうちに皆の心が一つになっていく

 今回、ゲストは大切な家族と友人30名。感謝を伝えるために、ゲスト全員に幸せな楽しい時間を過ごしてもらいたいというのが二人の希望です。しかし、ゲストはお一人で出席される方が多く、隣同士は初めましてという方ばかり。その状況で盛り上がるかどうかと心配する二人から、ゲストが打ち解け合うきっかけを作りたいという相談を受けました。そこで、自然とゲスト同士が交流できるように、共同作業と連鎖を意識した演出を組み込みました。披露宴の前半に新郎新婦にちなんだエピソードをテーマにした「テーブル対抗エピソードクイズ」を実施。ゲスト同士の自然な会話の連鎖を促し、連帯感を高めることにしたのです。この後、ゲストからのメッセージを、紙に描いた木に貼り付けウエディングツリーを完成させます。一つの物を共同で作りあげることで一体感を創出しました。お色直し後の入場の際にはキャンドルリレーを行い「幸せの連鎖」を形に。このように、エピソードクイズで会場の雰囲気を温めた上で次々と一体感や繋がりを感じられる演出を行い、ラストはデザートビュッフェです。この頃には元は知らない同士とは思えないほど和気あいあいとした雰囲気になりました。このデザートビュッフェについてお二人は、一 人参加のゲストがこの時間までに打ち解けて、デザートを楽しむことができるか、とても心配されていた演出でした。私は、きっとこのデザートビュッフェでゲストが盛り上がる!と自信があり、力強くお二人にご提案したものでした。二人も、ゲストの楽しそうな表情を見て「いい結婚式ができた」と実感されたようです。そして、その事実は、二人がこれからの人生を送る上でとても大きな自信と力になると思います。プランナーの私にとっても、新婦との出逢いは大きな自信に繋がりました。

ゲスト同士の自然な会話の連鎖を促して連帯感を高める演出を意識し、お色直し後の入場の際にはキャンドルリレーで「幸せの連鎖」を形にしました。

写真撮影最後の舞台に、新婦は最も意外な場所を選んだ

 今回私は、新婦の結婚式当日の負担を減らすために「プレフォト(前撮り撮影)」を提案しました。事前に新郎新婦姿になることで、当日の緊張もほぐれると考えたのです。撮影は順調に進み、最後の写真を撮る場所を決めることになりました。すると新婦は「私達の指定席!」と、打合せで毎回私が用意したテーブルを選んだのです。打合せスペースを希望されたのは初めてで驚きましたが、新婦に私の想いが通じていたのだと実感できた瞬間でした。これは私にとって最高の化学反応だったと思います。

プランナー全員が参加する勉強会で知識やアイディアを共有し、お互いに高め合う

 月に1度、プランナー全員で勉強会を行っています。打合せ内容や商品知識を共有したり、プランニング力を高めるためにディスカッションを行ったり。1 組1 組に合った提案ができるよう、プランナー同士で様々なアイディアを出し合っています。まだ経験が浅い私は、先輩から学ぶことで自分の引き出しを増やし、お客様に新たな提案をさせていただいています。

審査員の目

 お一人参加のゲスト間にコミュニケーションを自然に発生させ、いつの間にか一体感のある結婚式を創り上げてしまう…この「ワークショップ型」とでも呼びたくなるような結婚式は、昨今のカスタマの特性を考えても今後広がりそうな演出方法です。繊細な新婦に寄り添いつつも、必要な時は要望とは異なる提案もする、倉戸さんの本質を引き寄せる真摯な姿勢が化学反応を起こしました(2014年9月30日更新)