リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

9名の家族式を53名の結婚式にした本当の理由 ~「私たち、友人を呼ばない理由がなくなりました」~

「なぜ家族だけなのか?」その問いの答えを導くことで
二人の真の想いを探り当てた

砂川 謙太(すながわ けんた)さん
萬屋本店(神奈川県)

プランナー歴は11年。メーカーで営業を4年半勤めた後、某ゲストハウスにてプランナー5年、支配人5年を経験し昨年より萬屋本店へ。プライベートでは結婚13年目、2児のパパでもあります。

「結婚式の主役は誰?」新郎新婦が「家族式」を望んだ理由

 「結婚式は、新郎新婦とゲストの距離が遠くてまともに話すこともできない。常に新郎新婦にスポットが当たり、ゲストは蚊帳の外になってしまう。そんな結婚式に大切な友人を招待するのは申し訳ない」。新郎新婦が望むのは、家族9名で行う結婚式でした。「祝辞の挨拶、乾杯の挨拶、スピーチ、余興。何かをお願いすることでゲストに負担を掛けたくない。だから家族式を考えているのです」。

 私が考える結婚式の本質とは、家族、親族、友人が一堂に会した場所で、皆に感謝の気持ちを伝えること。大切な人達と節目を迎えることが大切であり、新郎新婦がゲストに何かをお願いする必要はないのです。“本当は友人も招待したいけれど意味を見出すことができない”二人の潜在的な想いに気づいた私は「結婚式本来の意味に立ちかえり、本当に招待したい方をお招きしましょう」とお伝えしました。すると、二人の表情がパッと晴れやかに。「二人の大切な人たちが同じ空間で出逢い、縁が生まれる」ことを結婚式のテーマに、参加者は当初の9名から、ご友人を招いての53名に変更となりました。

9名では叶えられなかったゲスト全員での集合写真。家族、友人が入り混じった花道を進まれ、新婦友人からのサプライズ寄せ書き、新郎妹が創ったサプライズメッセージビデオの上映後、全員の縁が深まった瞬間を撮影。

「何かしてあげたい」ゲストの気持ちが新郎新婦の心を動かす

 「二人に何かサプライズをしたい」、新郎の妹様が私に声を掛けました。話を伺うと友人達も同じ気持ちであるとのこと。しかし、二人はそれを望んでいません。二人へ何かしてあげたいというゲストの想いを汲みつつ、どこまで入り込めるか…、難問が課せられました。サプライズが私のエゴになってはいけない。二人の結婚式のテーマをご理解頂こうとゲストの方々に説明を重ねたところ、彼らが二人を思う気持ちの強さに逆に私が感銘を受ける結果となったのです。

 サプライズはゲスト全員で作る花道に決定。当日、お色直し後の新郎新婦は、ゲスト全員が入り混じった花道に驚き、皆からの祝福を受けながら幸せな表情で花道を通ります。新婦友人による寄せ書き、新郎妹が創ったメッセージビデオのサプライズが続き、全員の縁の深さが溢れ出た瞬間となりました。「あの日を想い出せば、これから二人でどんなことも乗り超えていけそうな気がします」二人からのお手紙に、自分の信念である「結婚式の本質を伝えることの大切さ」を再確認することができたのです。

夫婦の門出を祝した日本酒「白雪」での鏡開き。日本酒「白雪」と「木枡」の香りが会場内に漂う中、ゲスト全員と木枡で乾杯しました。
家族、親族、友人が入り交じり2列で新郎新婦を迎えた花道。縁の深さが全員の笑顔となって溢れ出た瞬間。

「WHAT」ではなく「WHY」を重視し
新郎新婦と信頼関係を築く

 「どんな、何を」ではなく、「なぜ結婚式を挙げるか、目的は何か」を明確にするため1回目のお打合せ前に深いカウンセリングを行います。テーマを掘り下げながら新郎新婦と密接な信頼関係を構築。決定したテーマをチームメンバー、各パートナーと事前に共有する事で、全員が新郎新婦と同じ温度を保ちながら当日に臨めるようにしています。

審査員の目

 少人数を希望するカップルは一定層います。ただその中にも、自分たちの本当の気持ちを自覚していないまま、少人数を希望しているカップルもいます。砂川さんは自身の強い信念のもと、カップルも気づいていない想いを見出し、ナビゲートしています。そして結果的に多くのゲストに囲まれた時間を創造しました。きっと、このカップルにとって良い変化となったはずです。