「結婚式っていいもんだね」という気持ちの種を
自分の地域から芽吹かせたい
プランナー歴8年。新郎新婦だけでなく、ゲスト、関わるスタッフ、全員に幸せを感じてもらえてこそ「いい結婚式」の完成だと思っている。だからこそ、支えてくれる皆に感謝と愛を込めて最高の空間を創り上げる。
野球好きな二人の想いをボールを投げるように繋げたい
新婦には小さな頃から、大好きな野球に囲まれて結婚式を挙げるという夢がありました。新郎も野球が大好きで、交際のきっかけは大学の野球部だったという二人。「応援したい!」という気持ちから、結婚式のお手伝いをさせていただくことになりました。
野球好きな二人が望んだのは、思い出がたくさん詰まった特別な場所での結婚式。前例のないことに戸惑いの連続でしたが、新婦が小学校の頃から所属している女子野球チームの監督を始め、たくさんの方々が手配や調整を手伝ってくれました。二人の結婚式を望む人達が、サポートしてくれる状況で、私の頭に浮かんだのは「繋ぐ」という言葉。野球のボールを繋ぐように、二人からゲストへの感謝や幸せの気持ちを伝え繋ぎたい。私は、結婚式と野球の融合にこだわり、式を野球の試合の流れに見立てることを提案しました。
さらに思いついたのは、結婚式の良さを伝える“種まき活動”。「地元に愛されるこの場所で結婚式をすることは、地域の人へ結婚式の魅力を伝えるきっかけになるかもしれない」と行動に移すことにしたのです。
- 想いを真っすぐに伝える元気いっぱいな新婦を、あたたかな視線でサポートする新郎。二人は現在も社会人野球チームに所属。結婚式では、二人の人生にとって大切なもの(パートナー・野球)に出逢わせてくれた両親へ、感謝の想いを伝えました
みんなの笑顔があふれあたたかな幸せが連鎖する
一体感を出すために、スタッフにはユニフォームとスニーカーの着用を依頼。「そんなこと出来ない!」と会場マネージャーには怒られましたが、新郎新婦の気持ちを何度も伝えることで、承諾していただきました。
肝心の結婚式は、試合の開会式のようにグループごとプラカードの前に整列するゲスト席、選手紹介のアナウンスで入場する新郎新婦、謝辞はヒーローインタビュー、ボールから手作りしたリングピローなど、野球好きな二人の魅力が伝わる式となりました。
挙式を終えてホテルへ戻る車内で聞いたのは「サービスマン人生で忘れられない一日になった」というスタッフの声。後で聞いた話では、以前ウエディングプランナーをされていたゲストの方が、この結婚式をきっかけに、「もう一回、結婚式の仕事をしたくなりました」と話されていたそうです。
野球と結婚式の融合という初めての試みは新郎新婦の想いを根気よく伝え続けることで、皆の気持ちを繋ぐことができました。幸せが次の幸せを繋ぐことを信じ、今後も“幸せの種まき活動”を続けていきます!
- 野球ボールを細工したリングピローは、手芸や工作が得意な新郎の手作り!プロさながらの見事な出来栄えです
- 本物の土を貼付けた案内板とバックネットフェンスをイメージ。テーブル配置は野球フィールドの配置に見立て
参列した全員が「いい結婚式」と感じる空間作りを目指します
プランナーにとってはたくさんある結婚式であっても、新郎新婦にとってはたった一回きり。ご提案された内容が、例え手間がかかる事であっても「めんどくさいを楽しむ」の精神で向き合っています。お二人はもちろん、参列したゲスト、スタッフ全員に「いい結婚式だった」と感じてもらえる空間作りを目指しています。
審査員の目
「あこがれの場所で結婚式がしたい」そんな思いから始まったプランニング。実現に向けて難題が増えていく中で、「できる方法を考え尽くし、諦めない」辻さんの姿勢が、お二人はもちろん、関係者の全てを巻込む幸せの連鎖につながりました。共感をベースに人を巻込み大きなうねりにしていく事が、次のスタイルを創る突破口になると感じさせられました。