いつでも、どこにいても二人が還ることができる
結婚式を実現するために
神奈川県出身。大学卒業後、山形県へIターン。パレスグランデールで自身の結婚式を挙げた7カ月後に同社へ入社。目標は「出会えた縁を大切にお客様と生涯繋がる関係を築くこと」。ウェディングプランナー歴は11年目。
「二人の未来に何ができる?」模索し見つけだした言葉は…
新郎新婦は小学校の同級生、ゲストのほとんども同級生と聞いた私が最初にプレゼンしたのは「同窓会ウェディング」でした。しかしこれでは、過去や現在に焦点を当てるのみで、二人の未来に繋がるものが残せない。私は改めて二人の未来を見据え、ヒヤリングからその糸口を探り出すことにしました。
結婚式を挙げた半年後に二人は海外へと飛び立ちます。「メッチャ楽しみです」と言いつつも笑顔の裏には不安が見え隠れ。私はそれを見逃しませんでした。「“行ってらっしゃい”って外国では何て言うんですかね?」私からの問いに「同じ言葉は無いかもしれないですね」と新郎。言葉の意味を調べてみるとそこには深い意味がありました。「行ってらっしゃい」には“行って、無事に戻ってきてください”という“願い”が込められていたのです。いつ日本に帰国できるか分からない二人の支えになる結婚式を創りたい。いつでもどこでも“ただいま!”と戻ってこられる場所として、“原点に立ち返る”意味を持つ言葉「還る」を、結婚式のキーワードに選ぶことにしたのです。
- 新郎家で炊いた一升分のご飯を新婦家で握った巨大おにぎり。同じ釜のご飯を食べて生きる決意を込めてのファーストバイト。
大好きな「おにぎり」で家族と二人の未来を繋ぐ
二人には小学校時代「お腹を空かせて自宅に帰ると、お母さんとお婆ちゃんがおにぎりを握って待っていてくれた」という共通のエピソードがありました。その背景を活かし、披露宴を構成するアイテムは「おにぎり」に決定。両家、我が家のおにぎりでの「ラストバイト」、両家合同で準備した一升分の巨大おにぎりによる「ファーストバイト」。そして、サプライズのゲストの「いってらっしゃい」を形にした「神経衰弱おにぎり」は二人の未来の子どもに結婚式の話をしながら遊んで欲しい、大切な仲間との結婚式を思い出して欲しい、そんな想いを込めて考案しました。「ただいまの言葉で帰ってきます。おかえりの言葉で迎えてください」結婚式の最後、新郎は準備していた謝辞の内容を変更しました。
結婚式は、家族になった二人が未来へ歩み出す日です。プランナーの役割は、二人の幸せな未来のために「還る」ことができる場所を創り出し、いつまでも二人の人生に寄り添い続けること。その行動がいい結婚式を広げていくのだと私は信じています。
- 「おにぎり神経衰弱」。ゲストに各卓2枚ずつのおにぎり型カードを配布し、お色直し中に具の名前とメッセージを記入頂きました。ゲストからの「行ってらっしゃい」を形にすることができました。
- 世界のどこにいても、結婚式のことを思い出して欲しい。「おにぎり神経衰弱」に込めた想いを二人にプレゼン。
お客様との縁を大切にお便りやライフイベントのお手伝いも
「出会えた縁を大切にお客様と生涯繋がる関係を築くこと」を目標に掲げ、担当させて頂いたご家族に2カ月に1度お便りを発送する他、お食い初めや年祝いなどのライフセレモニーのお手伝いもさせて頂いています。目の前の結婚式を未来に繋ぐ決意と覚悟、行動こそが、結婚式の素晴らしさを世の中に広げていくものだと信じています。
審査員の目
単に「未来に向けた結婚式」というだけではなく、「未来のお二人から見たときにこの結婚式がどんな意味を持つのか」まで掘り下げて追及する。その重要性を上條さんの発表を聞きながら感じました。とことんカップルに寄り添い、状況を読み解くだけではなく、人生そのものを見立て、提案する。プランナーの可能性の広がりを感じさせてくれました。