リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

二つのテーマでゲストをおもてなし! 「Stylish×Princess = Entertainment!」Wedding

テーマ・ウエディングの価値とは、
別々に生きてきた二人の思いをつなぐこと

冨士 友里絵(ふじ ゆりえ)さん
ホテル日航東京(東京都港区)

プランナー歴2年。二人ならではの背景やテーマにこだわり、変わった希望や演出でも、うちならできる!やっちゃえ!と常に前向きに考える。よりよいものをつくりあげるために、パートナーもどんどん巻き込む。

好みも意見もかみ合わない二人。双方が納得するテーマ探しの旅へ

 新規のご案内中にテーマ・ウエディングをやりたいと強く熱望された二人。しかし「スタイリッシュな会場にしたい」という新郎に対し、「ディズニー・プリンセスみたいになりたい」という新婦。普段から好みが全く違う上、それぞれの希望も強く、その場で喧嘩になってしまいました。何とか二人が我慢も後悔もしない結婚式を実現させたい。そう決意し、二人との「テーマ探しの旅」に出たのです。

披露宴後半は、新婦が希望するディズニープリンセスの世界へ。お色直しをした新婦は、ラプンツェルをイメージした淡いパープルのドレスやブーケをもって登場。キャンドルリレーではラプンツェルのシーンをイメージした演出でゲストを楽しませました。

希望の背景を掘り下げ、二人に共通する思いを探る

 旅の第一段階として、私は二人の話をもっと深くお伺いすることが必要と考えました。そこで通常の打ち合わせ前に、0回目の打ち合わせを提案。表面上は好みの違う二人の心の中にある思いを、とことん出し尽くしてもらうための場です。普段好きなもの、理想の披露宴イメージなど、自由に話していただきました。互いに言いたいことを言える素敵な関係ではあるのですが、やはり好みはバラバラ、徐々に言い合いとなり、また喧嘩に。しかし希望の背景を掘り下げていくと、表現方法は違うものの、実はゲストをおもてなししたい、楽しませたいという共通の強い思いが見えてきました。この共通点を大切にすることには二人とも納得。ただテーマは決まらず次回に持ち越しになりました。
 そこで、通常はテーマが決まってから行うアイテム選定を先に行うことにしました。二人の共通の好みを見つけられるかもしれないと考えたからです。ただ私の経験では提案に限界があるため、パートナーに相談し、特別に一緒に参加していただくことになりました。結果、共に好きと感じるアイテムがあり、二人のイメージの合致点がいくつか見えてきました。そこで再度テーマを考え、提案。新郎こだわりのモダンなテイストで装飾した会場に、新婦のこだわりである「ディズニー・プリンセス」の世界観を融合し、ディズニー映画『ラプンツェル』の世界を表現することにしました。この話は、森の中の塔の上で育ったラプンツェルというお姫様が、森を抜け出し運命の人と出会うというラブストーリーです。ゲストへのおもてなしをキーワードに、披露宴を2部構成にし、前半は新郎の希望である格式高いおもてなしの披露宴、後半は新婦の希望であるディズニーランドのようにゲストをワクワクさせるパーティと、それぞれのおもてなしの形を実現させるようにしました。

披露宴前半は和装で入場し、フォーマルかつスタイリッシュな演出で、新郎の思いを実現

準備の過程で知る互いの新たな一面。それが二人の絆をより深める

 いよいよ当日。ラプンツェルの森をイメージした会場に、スタイリッシュな和装での入場。新郎から皆様への挨拶があり、格式高い進行をさせていただきました。ケーキには、ラプンツェルの魔法の花をあしらいました。キャンドル・リレーでたくさんの明かりを灯し、ゲストと一緒に炎をそっと吹き消した瞬間、壁いっぱいに幻想的な光が広がります。すると司会者がエンターテナーに早変わりし、歌って踊る楽しいショーが始まりました。
 披露宴後に二人から、希望が全て叶えられた披露宴でしたと、素敵な言葉をいただきました。ゲストやご親族にも、二人の一貫したおもてなしが伝わったようです。ただ最も心に残った言葉は「今までこんなに喧嘩をしたことはなかった」でした。一生に一度の事だからと打ち合わせだけでなく、家でもよく喧嘩をしていたそうです。「お互い知らない一面を見ることが出来たし、より絆も強まりました」。その言葉が今でも心に強く残っています。

二人で一つのテーマをつくる その過程にこそ価値がある

 二人と出会うまで、私はテーマ・ウエディングの価値は統一した演出や装飾をした結婚式の当日にあると思っていました。しかしその価値は、二人で一つのテーマを作る、その過程の中にもあるのでは、と思うようになりました。二人の思いを一つにつなぐテーマを考えるために、喧嘩をしたり悩んだり向き合う時間がより二人の絆を強められるからです。その絆は、その後二人が歩んでいく人生の大きな財産となります。今後もプランナーとして準備期間から二人を見守りサポートしていきたいと思います。

審査員の目

 「テーマ・ウエディング」は単に演出を決めるためのものではなく、お互いをより深く知るためのもの。その準備の過程にこそ意味があるということを、冨士さんは今回のプランニングを通じて気付かれました。悩みながらも諦めずに考え続ける真摯な姿勢と、信頼するパートナーの巻き込み、そしてその気付きに至るプロセスがとても感動的でした。(2013年9月30日更新)