結婚式の奇跡を信じ、家族との壁を取り払うことにチャレンジ。
「結婚式をする意味」に正解はない。答えは一緒に見つけていくもの

大切にしていることは出会ってくれた人に出会えて良かったと思ってもらえる人生を歩むこと。今幸せだと思えるのは出会ってくれた人のおかげ。だからこそ私はプランナーとして感動を届けることで恩返ししていきたい。
結婚式に意味を見出せない新郎。
2人だけの答えを見つけることの大切さを訴え、3人の想いが一つに
結婚式に憧れを持つ新婦と、何を聞いても後ろ向きな新郎。2人の温度差に疑問を抱きつつ、踏み込んでも何かできる自信がなかった私は、気づかないふりをしました。数日後、新郎から電話。「結婚式をする意味を教えてください」。私は「人それぞれですが、感謝を伝えたいという方が多いです」としか答えられませんでした。勇気を出してぶつかってくれたのに、曖昧な答え。不甲斐なさを感じていると、数日後改めて新郎から「式をやめたい」と電話がありました。キャンセル期日は目前。何時間にも及ぶ電話でひたすら聴くと、家族と何年も話していないこと、過去を思い出したくないこと、紹介してもらうエピソードがないことなど、本音を明かしてくれたのです。私は、新郎が式そのものをしたくない訳ではないと気づきました。塾講師という常に正解を求める職業の彼は、結婚式の意味という正解のない答えを探していたのです。その気持ちを置き去りにしたまま進めていたことの悔しさで、胸がいっぱいでした。
この想いが押し付けになってもいい!と私は覚悟を決め、懸念事項の一つ一つを解消していきました。2人からは「これからもお願いします」との答えが。この決断を絶対後悔させない、式をしてよかったという2人の笑顔が見たい。そんな一心の私は、2人にとって大切なのは式そのものというより、人生の羅針盤となる想いであると気付き、「結婚式に正解はありません。2人だけの答えを見つけてください。それが夫婦になるということ」と伝えました。2人が一番大事にしたいのは2人らしさではなく、ゲストを大切にすること。その想いを自由に2人らしく伝えてほしいとの願いを込めたコンセプトに、初めて涙を見せる2人。3人の想いが一つに重なり、これが本当のコンセプト提案の意味だと思いました。

きっかけはファミリーミート。
会話がなかった時間を取り戻し手紙とハグでつなぐ親子の絆
もう一つトライしたのは、新郎と家族との壁を壊すこと。話すきっかけを作れるのは、この日しかありません。ファミリーミートで、涙するご両親の祝福の言葉から始まった家族の会話。新郎はこれまで、話すタイミングがなかっただけでした。初めは不要と言っていたジャケットセレモニーも、感謝を伝える時間だと説得。今までを取り戻すように、新郎の背中を愛おしそうに見つめるお母様の姿がありました。
妹様の式で中座相手に選ばれた際、記憶にないエピソード紹介をされたことから、新郎がずっと悩んでいた妹様との中座。それぞれが今この時間を感じてほしかったので、大切に想う気持ちだけでいいと伝え、アナウンスはなしにしました。また最初は読まないと言っていた手紙も「この日だからこそ想いを伝えられる大切な機会」と促し、実現。新郎の手紙に、厳格だというお父様も涙を流されていました。あとは親御様に2人の想いを受け止めてもらうだけ。「ぎゅっと抱きしめてあげてください」と伝え、退場時にみんなが見守る中でラストハグ。やっと新郎の笑顔が見られました。

結婚式をしてよかったと語る新郎。
「正解はなく一緒に見つけるもの」これが、3人でたどり着いた答え
本当はずっと結婚式をしたかった新婦。本音をぶつけてくれ、答えを探し続けていた新郎。最後の扉が閉じた時、そこには私達3人の答えがありました。結婚式の数時間後、新郎から電話がありました。「結婚式をして本当によかったです」。私もです、という言葉を飲み込み、新婦様にもそう伝えてあげてくださいと言いました。最初に感じていた温度差を、2人の未来で、2人だけの答え合わせをしてほしかったから。
2人と一緒に迷い、当日まで探し続けた正解。悩んだ時間は、私にとって宝物です。結婚式をする意味。今の私は自信を持ってこう答えます。「正解はない」と。答えは一緒に見つけていくもの。それが、プランナーである私がいる理由です。
評価のポイント
プランナー3年目に突き付けられる「結婚式を挙げる意味」。苑田さんは葛藤しながらも、逃げずに問いに真正面から向き合い続けました。結婚式キャンセルを検討される新郎新婦に対し、押しつけになったとしてもプランナーとしてその価値を伝えなければと自らを鼓舞する姿には、誰もが勇気をもらえます。結果、結婚式を挙げてよかったという声をおふたりから引き出せたのは、苑田さんが自分のプランナーとしての介在を諦めなかったからこそだと思います。