リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

「礼にはじまり 礼でむすぶ」

既成概念にとらわれず、
二人の価値観を深く探ることからみえる結婚式の在り方を提案

早野 智子(はやの さとこ)さん
虎幻庭ウエディング(東京都)

仕事=志事が私のモットー。自分自身が将来叶えたい事を実現できるのが仕事。だからこそ、常に自分の想いを語り、一緒にその夢に向かって走れるように仕事を通じて仲間との出会いも大切なコトの一つ。

二人が気づいていない結婚式の意味を引き出す

 大学時代に所属していた「野球サークル」で知り合い、10年間の交際を経て婚約された二人。「両親に頼まれて式場探しをしている。どこもプランやパッケージの話ばかりでうんざり…」と結婚式に後ろ向きな考えをお持ちでした。そんな二人に「そもそも、お二人が結婚式をするのは何のためでしょう?」と質問を投げかけたところ、少し考えて出た答えは、「両親へ感謝の気持ちを伝えるため」。立ち止まり考えたことで見えた結婚式の意味。このことをきっかけに、「今まで受け身の立場でいたけれど、結婚式とは本来自分たちで作っていくものなんだ」と気づいた新郎新婦は「親への感謝」をテーマに、結婚式へ前向きに取り組むことになったのです。
 二人の想いを表現できると私が提案したのは、日本古来から続く「家婚式(かこんしき)」。母親と花嫁支度を整えた花嫁が、父親と花嫁道中をなし、お世話になった近所の方々にご挨拶をしながら新郎の家に向かうというもの。育ててもらった家族への感謝とこれから家族となる両家の結びつきを体感できるスタイルで、二人にぴったりだと思いました。

今まで育ててもらった両親から、これから人生をともにする新郎の元へお嫁入りの儀。その最後の身支度「はこせこの儀」

プランナーが新郎新婦に提供する最大の価値とは

 自宅のような空間で歓談をメインにした和やかな雰囲気のなか、ご両親に感謝の気持ちをお伝えする。このテーマを実現するために、ゲスト同士が会話しやすいよう椅子を狭く配置し、棚には二人の思い出の写真を飾りました。挙式は「家婚式」の流れを取り入れます。花嫁支度をする母親が、いつまでも美しく笑顔が絶えないようにと願い、嫁ぐ娘へ化粧ポーチを娘に渡す「はこせこの儀」に始まり、家と家との結びつきとして両家ともに盃を酌み交わす「家族固めの盃」。その後は「親への感謝」を読み上げる手紙の時間です。二人の想いを聞きご両家ご両親はとても幸せそうでした。披露宴への流れは鏡開きで景気よく乾杯!開宴に向け一気に盛り上がりました。
 「二人の本当の想いを引き出すこと」をモットーに10年間、プランナーとして働いてきましたが、今回の結婚式を通して改めて気付かされたことがあります。それは、プランナーが提供できる最大の価値は、「二人が気づいていない結婚式をする意義を見つけ出し、テーマを決め、形にしてあげること」。これからも、この想いを胸に精進していきます。

ご両親が見守る中、感謝を込めてのサプライズ、挙式と披露宴を結ぶのは鏡開き。歓声とともに一気に開宴へ。野球サークル時代のご友人による乾杯で祝宴がはじまります
ゲスト全員で結び合わせたリボンから二人の指輪が届き、結ばれる「結びの儀式」。一体感のままお開きに

打合せに十分な時間をかけ二人のテーマを探ります

 「なぜ結婚しようと思ったのか?」、新郎新婦の意見や要望、背景に耳を傾け、二人の原点を探り、それを形にすることを心がけています。プランナーである私自身が納得できるまで、とことんお話を伺おうと最初は特に入念に時間をかけて打合せを行い、二人の要望に沿ったテーマをご提案できるようにしています。

審査員の目

 「結婚式は選ぶものではなく、自分たちで作っていくもの」早野さんの言葉から、お二人の気持ちは大きく動き始めます。そしてその気持ちを早野さんが汲取り、プロとして形にしていく。新郎新婦の本当の気持ちを反映したプランニングは、場の空気を整え、参列者の共感と本物の感動を呼んでいきます。全てにおいて考え尽くされたプロの仕事だと感じました。