ありきたりを意味ある祝福へ変え、
ゲストと共にふたりが見たかった景色を創り上げたプロの舞台

2019年株式会社プラネットネットワーク中途入社。
現在はチーフプランナーとして、主に打合せから当日までを担当。
テーマウェディングを大切に、おふたりと私にしか創れない結婚式づくりを心がけています。
命に向き合うふたりの期待を超え、結婚式にプロが必要であると証明する覚悟
ウェディングプランナーと、プロのウェディングプランナー。その違いは何でしょうか。情報は誰でも手に入り、AIが提案する時代に、私たちがプロとして存在する意味とは何か。そう考えていた私の前に現れたのが、命に向き合う仕事をするふたりでした。新郎は救急救命士として誇りを持ち、自分に厳しく生きる方。新婦は幼くしてお父様を亡くした経験から、家族を守れる存在になりたいと看護師になった方。ふたりに共通していたのは、命を扱うプロとして妥協せず向き合う姿勢でした。
ふたりの要望は「ありきたりではないこと」「高いエンターテインメント性」そして「期待を超えるプロの存在」。正直震えましたが、私たちに期待してくださることが嬉しくもありました。絶対に期待を超え、結婚式にはプロのウェディングプランナーが必要だと証明したい。そう覚悟を決めました。
定番を再構築し、祝福を届ける舞台をゲストと共に創る
まず私は、ふたりの言葉をそのまま受け取らず、一つ一つ紐解きました。「ありきたりは嫌」の奥にあったのは、定番演出への拒否ではなく、結婚式といえばこれで終わることへの違和感でした。ゲストに「ふたりの結婚式だった」と感じてほしい。ならば演出を変えるのではなく、その意味が届くよう設計すれば、定番もふたりだけの演出に変えられるはずです。
ライブのようなエンターテインメント性も同じでした。ふたりがライブに心を動かされるのは、音楽だけではありません。アーティストの思いと観客の心が重なり、会場全体の感情が一つになる瞬間。結婚式で叶えたいのはこの体験なのだと気づきました。私は、ふたりらしい結婚式と、ふたりの結婚式を両立させるため、この一日を一つの舞台と捉え、演出家になろうと決めました。
演出家として捨てた当たり前は二つです。一つは、進行は時間や流れを組むものという考え。感情を動かす体験として設計するため、ライブ映像を研究しました。そこで気づいたのは、結婚式には祝福があること。ふたりからの「ありがとう」だけでなく、ゲストからの「おめでとう」がある。その祝福をふたりへ届けることこそ、結婚式にしか作れないエンターテインメントだと考えました。
もう一つは、ゲストは参列者という当たり前です。新郎は、両親の離婚後、母に負担をかけまいと何事も一人で解決してきた方。新婦は、家族の存在を誇りに思う方。だからこそ、互いの家族に思いを知ってほしいと考えました。プロフィールムービーの撮影に両家の親御様を招き、インタビューにも参加していただくことで、準備期間から家族が関わり、当日の感情が深まる時間を作りました。
友人から届いたサプライズの相談も、そのまま受けるだけでは終わらせませんでした。新郎へ「このシーン、私に任せてもらえませんか」と伝えると、返ってきたのは「プロの楠戸さんに任せます」。私は、ゲストと共に作り、祝福を届ける結婚式ならではのエンターテインメントにすると決めました。音楽、照明、空気まで設計するため、通常は行わないリハーサルも依頼しました。
当日、受付にはライブ会場のようなフォトスポットやチケット風エスコートカードを用意し、始まりから高揚感を演出しました。親御様の言葉を組み込んだプロフィールムービーでは、ゲストがふたりの人生に心を寄せます。お色直し入場では、ライブでは定番でも結婚式では珍しいトロッコ入場を実現。登場した瞬間、会場は歓声に包まれ、ふたりもゲストも一体となりました。
最もこだわったのは、ダーズンフラワーセレモニーです。定番と思われる演出だからこそ、ゲストが想いを届ける形へ再構築しました。この想いは誰が届ければ、いちばん新婦の心を動かすのか。友人と新郎を巻き込みながら追求し、ふたりにしか作れない時間へ変えました。完成したものを見せるのではなく、ふたりとゲストが共に創るエンターテインメント。そこに観客はいませんでした。全員が祝福を届ける舞台の一員でした。
決められた役割を超えて必要な存在となり、ふたりの人生に本気で向き合うプロへ
ふたりからは「見たかった景色はこれでした」と言っていただきました。さらに「僕たちももっと深く患者さんの人生に向き合い、誰かの人生を支えるプロでありたい」と話してくれました。プロとは、決められた役割を果たす人ではなく、ふたりにとって本当に必要な存在になるために、自らの姿を変え続けられる人。時代が変わっても、変えてはいけないものがあります。それは、ふたりの人生に本気で向き合う覚悟です。私はこれからも、人だからこそ届けられる感動を生み出すために、必要なプロであり続けます。




評価のポイント
「ふたりらしい」と「ふたりの結婚式」の違いを見極め、ありきたりを否定せず意味を問い直した姿勢が印象的でした。ライブの本質を研究し、祝福や家族の想いを重ねながら、ゲストを参列者ではなく共に創る存在へ変えた点が素晴らしいです。要望に応えるだけでなく、まだ言葉になっていない願いを引き出し、チーム全体で体験価値へ昇華した姿勢に、プロのウェディングプランナーとしての思考の深さと存在価値が表れています。