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“三(ミ)つよりの綱(ツナ)”は、本当に切れない ~母校での結婚式~

「高校のチャペルで挙式をしたい」
“ホテルのプランナー”の枠を超えて、二人をサポート

飯島 翔子(いいじま しょうこ)さん
浦安ブライトンホテル東京ベイ(千葉県浦安市)

プランナー歴4年。心がけているのは「二人が何を求めているか」「ゲストに一番何を伝えたいか」を納得するまで聞くことと、感性を磨くため様々な所に足を運び良い物に触れること。

いい結婚式には、挙式の成功も不可欠

 高校からのお付き合いだという二人は、明るく無邪気に「挙式は友人の力を借りて母校でしたいんです。どうすればいいですか?」とたずねてきました。母校である高校のチャペルで挙式がしたいが、挙式のためのしつらえはなく、前例もないという。正直、戸惑いました。私はホテルに所属するプランナー。本来はホテル外の挙式は二人に任せて、ホテルで行う披露宴のみをプランニングすれば役割としては十分…でも、そうは決断できませんでした。二人にとって高校のチャペルは原点、そのチャペルでの挙式には強い意義があります。でも、もし新郎新婦だけに任せて万一うまく行かなかったら…。トータルでいい結婚式にするためには挙式の成功が不可欠です。日頃からそう考えている私は二人の想いと期待に応えるために、ホテルの枠を超えお手伝いする覚悟を決めました。

友人達だけで完璧に執り行えるように、ゲストの着席位置やトイレの場所、靴箱の数など事前に確認、対処しました。また、係やしおり、バスでの移動など、お手伝いの友人やゲストにまるで修学旅行のような学校行事の思い出と重ね合わせ、楽しんでいただく工夫もしました。

プランナー不在の挙式のための「結婚式のしおり」を制作

 二人の母校の校章は3本の綱がモチーフで、「三つよりの綱は、たやすくは切れない」という協力の大切さを説く聖句を元にしています。これを合言葉に、新郎新婦、お手伝いの友人、プランナーの私、この3者が「三つよりの綱」となり、協力・連携 して挙式をプランニングしていくことになりました。ただし今回は、母校の卒業生である友人たちの手伝いの下で行うことに意義があるので、私は現地に行かずに『黒子』としてサポートする前提に考え始めました。
 学校への交渉は二人にお願いし、先生が牧師を務めてくれることになりました。実際に学校に見学にも行き、写真だけではわからない動きや広さを立体的にイメージし、問題点を洗い出しました。ま た、車での移動ルートや所要時間も確認しました。
 今回、お手本にしたのはホテルの挙式です。普段、挙式スタッフがどんな動きをしているのかを再確認し、当たり前のことも友人たちにとっては全てが初めての経験であるということを心に留めました。その上で、一日の動き、登場人物、具体的行動等全てを紙に書き出しました。さらに「渋滞に巻き込まれたら」など、当日起こり得る問題も予測し、ひとつひとつ解決していきました。
 挙式のことが全くわからない友人達には、リーダー役や「ドアを開ける係」など細かな役割分担を決め、それらを新婦に「結婚式のしおり」にまとめていただき、このしおりを見れば、私なしでもスムーズに進行できるようにし、挙式の成功へと導きました。

ケーキには、母校のチャペルと新郎新婦の人形をデザイン。二人らしさと挙式から披露宴への繋がりを表現。

二人が予測しきれない状況も予測し、導くのがプランナー

 一方、二人からは披露宴でも新郎得意のピアノ演奏やたくさんの余興など、多くのリクエストがありました。それを全て組み込むこともできましたが、学校での挙式という貴重な体験の後、余興でお腹一杯になる披露宴はゲストにとって逆効果と考え、あえて二人の希望を叶えないということを選択し、「ゆとりある披露宴」を提案しました。二人にも深く理解していただけ、自らウエルカムスピーチでコンセプトを伝えてくれるまでになりました。
 希望をその通りに行うだけでなく、二人が予測しきれないゲストの心理状態や全体への影響を考え、最善に導いていく。それこそがプランナーだと私は思います。
 後日、挙式の映像を拝見すると、そこには打合わせした通りの挙式風景が映し出されており、言葉では言い表せない感動を覚えました。また二人と友人は、この結婚式を通して、一生切れない絆で結ばれたと思います。そしてこれこそが、私が一番実現したかったことでした。会場プランナーの私にとってまたとない貴重な経験をし、新境地を開拓できたと感謝しています。

準備期間、挙式、披露宴
この3つが揃ってこその“いい結婚式”

 挙式は、新郎新婦がお互いの絆を誓い、確認し合う時間。披露宴は、ゲストとの絆を深める時間。準備期間は、プランナーやホテルと密に過ごす時間。結婚式は新郎新婦だけでもできないし、プランナーだけでもできない。3 人で力を合わせて作り、当日はそこにゲストが加わり“いい結婚式”に繋がるのだということを改めて実感しました。

審査員の目

 「本当にいい結婚式にしたい」と考えた時、飯島さんは実に軽々とその枠を飛び越え、自由に動き出します。そしてその成功には友人の協力が肝だと気付くと、細心のケアと精緻なプランニングをしつつも黒子として自分の気配を消すことを忘れません。この強い意志と絶妙なスタンスの取り方こそが、今後より自由で新しい結婚式を生み出す力になると感じさせられました。(2014年9月30日更新)

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