担当研究員の注目ポイント!
全国の結婚イベント関連産業の経済波及効果は約4兆円、雇用効果は36万人。
結婚するカップルが一組増えることによる経済波及効果は658万円。
今回、リクルートブライダル総研では、結婚イベントが経済全体にどのような影響を及ぼすのかを明らかにするために、結婚イベント関連産業が生み出す経済波及効果(生産誘発額)や雇用効果(雇用誘発人数)を推計しました。
推計した「結婚イベント関連産業の経済波及効果」は、3.9兆円となり、婚姻組数が一組増えるごとの経済への影響(経済波及効果)は658万円となりました。また、雇用効果(雇用誘発人数)は36万人にも上ることがわかり、婚姻組数が一組増えるごとに0.6人の雇用を創出しているといえます。
「結婚イベント関連産業の経済効果」は、披露宴・ウエディングパーティ等の結婚式はもちろん、結納・顔合わせ等の結婚前のイベント、またそれぞれのイベント前後での消費(例えば、結婚式前後の宿泊、それに伴う飲食など)や、結婚の当事者以外の招待客にまつわる消費が含まれていること、そしてそれらの消費が直接的・間接的に影響を及ぼす経済効果まで含めて推計している点が特徴です。
結婚を決めてから挙式を行うまで、平均で12.6ヶ月(※)ありますが、その約1年の間には、婚約記念品の購入や、両家の顔合わせ等、様々な結婚イベントがあります。また披露宴・ウエディングパーティの招待客は平均66.3人(※)であり、その招待客一人ひとりが購入する衣装や美容ケア費等も結婚イベントに関連する消費です。(※“ゼクシィ結婚トレンド調査2020 調べ”全国推計値)
このように1組のカップルが結婚イベントを実施することにより、当事者の二人はもちろん当事者以外も含めた、時間軸の長い消費行動が発生している、という点は、他の一般消費に関わる産業とは異なる結婚イベント産業ならではの特徴だと言えます。それだけ裾野が広い産業であり、地域における経済・雇用において重要な産業なのです。
今回の推計に当たっては、過去の結婚イベント実施者のデータや、現在確定している最新の婚姻組数(令和元年)を利用しており、コロナ前後の経済波及効果の変化等を表したものではありませんが、従来の市場規模とは別の新たな指標になるのではと考えています。
もちろん、結婚式をはじめとする結婚イベントの価値は経済的側面だけではありません。新たな家庭を築く二人が誓いを新たにする場であり、二人を今日まで育んだ親にとっては子育て卒業を実感する節目となります。また、ふたりが今までお世話になってきた人たちに感謝を伝え、二人と招待客、もしくは招待客同士が絆を深める場としての価値も大きいでしょう。そういった意味で、結婚イベントは、二人とその周りの人々が、力強く未来を生きる為の再スタート地点となる貴重な人生の節目といえます。
今後は、今回明らかにした結婚イベントの経済価値と同時に、結婚する二人や招待客に与える影響や地域の文化的側面などへの影響を明らかにしていくことで、結婚イベントの価値を多面的に理解し、結婚イベントの今後の在り方を再考していきたいと思います。