リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

恋愛・結婚調査

2023年12月12日に、最新の調査結果をリリース!
そこから読み取れるマーケットやカスタマの変化について、担当研究員が解説します。

調査概要 全国の20~49歳の未婚男女1,200人に対して、恋愛や結婚に対する意識や行動を調査しています。現在の恋愛や結婚にまつわる状況と志向性が把握できる調査です。
出典記入方法 「恋愛・結婚調査2023(リクルートブライダル総研調べ)」と必ず明記ください

20~40代未婚者のうち、恋人がいる人は29.7%。
交際経験のない20代男性は46.0%、女性は29.8%でそれぞれ前回比増加。
恋愛観を見ると、「恋愛するなら結婚のため」という価値観が
20代男女の中で広まっている

20~40代の未婚者の中で恋人がいる人の割合は29.7%。男女共に交際経験なしの割合が増加

  • 20~40代の未婚男女のうち、恋人がいる人の割合は29.7%で、約3割。
    恋人がいない人の割合は70.3%。交際経験のない人の割合は34.1%で調査実施以来最高値。
  • 恋人がなく交際経験もない人の割合を見ると、20代男性(46.0%)は前回調査比で11.8ポイント増加。20代女性(29.8%)は前回調査比で5.5ポイント増加と、どちらも過去調査と比較して増加傾向。

恋愛イメージを探ると「恋愛するなら結婚のため」という価値観が20代男女の中で広がっている

  • 「結婚を意識する相手としか付き合わない」に対して「非常にあてはまる」「ややあてはまる」を選んだ割合は、20代男女が増加傾向。20代男性(34.6%)は2017年から比べて10.9ポイント増加、20代女性(44.3%)は6.6ポイント増加。
  • 「恋愛は時間とお金の無駄である」項目を見ると男女全年代で2017年比増加。特に20代女性(19.4%)は7.2ポイント、20代男性(23.7%)は6.3ポイント、30代女性(23.6%)は12.8ポイント、30代男性(21.7%)は7.4ポイント増加した。

結婚意向は未婚者全体で減少。また、男女で比較すると女性の方が減少幅が大きい

  • 20~40代の未婚男女のうち、「(いずれは)結婚はしたい」人の割合は46.1%、「どちらともいえない」人の割合は28.3%、「(今後も)結婚はしたくない」人の割合は25.6%。2019年度以降から「(いずれは)結婚はしたい」人の割合は年々減少している一方、「どちらともいえない」「(今後も)結婚はしたくない」と答えた人の割合は年々増加。
    また、男女比較すると、女性の方が男性よりも「(いずれは)結婚はしたい」と答えた人の割合の減少幅が大きい。また、女性は「どちらともいえない」と答えた人が27.0%で、2017年から8.6ポイント増加。

結婚したくない理由は男性は「金銭的理由」や「扶養の責任への負担」の理由が強く、女性は「行動や時間の制限」「必要性を感じない」ことが理由として高い

  • 結婚意向がない人・どちらともいえない人の「結婚したくない理由」上位5項目は、「金銭的に余裕がなくなるから(36.4%)」「行動や生き方が制限されるから(35.8%)」「メリットを感じないから(24.8%)」「自由や気楽さを失いたくないから(24.4%)」「必要性を感じないから(22.6%)」だった。
  • 男女それぞれの最も割合が高い項目を見ると、男性は「金銭的に余裕がなくなるから(42.5%)」、女性は 「行動や生き方が制限されるから(40.5%)」。男性は女性よりも「金銭的理由」や「扶養の責任への負担」の理由が強く、女性は男性に比べ「行動や時間の制限」「必要性を感じない」ことが理由として高い。

「職場状況や働き方」と「結婚意向」に関係がある

  • 「仕事・職場の状況」に対して結婚意向別で比較すると、男性で最も差が大きかったのは「休暇が取りやすい職場である」(20.4ポイント差)。女性では「既婚者が多い職場である」(13.9ポイント差)。男性は“時間的余裕をつくりやすいこと”、女性は“ロールモデルが職場にいること”がより関係している。

担当研究員の注目ポイント!

2023年調査では、20~40代未婚者のうち恋人がいる人の割合は29.7%、恋人がいない人の割合は70.3%という結果になりました。また、交際経験がない人の割合に着目すると、20代男性は46.0%で前回調査よりも11.8ポイント増加。20代女性は29.8%で前回調査比5.5ポイント増加し、恋愛経験がない層の広がりが見て取れます。
その理由を探ると、「恋愛は時間とお金の無駄である」という項目が、20代女性は19.4%、30代女性は23.6%、40代女性は15.5%が「非常にあてはまる」「ややあてはまる」と回答し、どの年代も過去調査と比較して高くなっています。また、「結婚を意識する相手としか付き合わない」という項目についても20代男女で増加傾向が見られ、恋愛観の変化がうかがえます。
これらの結果を踏まえて、特に20代男女を中心に、「恋愛するなら結婚のため」という価値観が広がり始めているという見方もできるのではないかと考えます。恋愛すること自体が目的ではなく、恋愛を通じて何かしらの成果やメリットを感じたいと思い、その先にある結婚を意識するようになっていると感じます。つまり「結婚を目的とした恋愛」への転換です。その背景には、「時間をかける」「コストをかける」など自身の労力や努力をかければ、必ず成果が出るわけではないという恋愛の特性があります。言い換えると、恋愛が「コスパやタイパの悪い活動」「合理的ではない活動」として捉えられ、特に効率性や合理性を重視する若年層の価値観とフィットしなくなっているのではと思います。
結婚意向はどうでしょうか。結婚意向も2023年調査では「(今後も)結婚はしたくない」人が全体の25.6%となり増加しています。男女別に理由を見ると、男性は、「金銭的理由」や「扶養の責任への負担」の理由が強く、女性では「行動や時間の制限」「必要性を感じない」ことが目立ちました。結婚をするかしないか、したいかしたくないかは個人の選択です。一方、社会という視点で見た時に、結婚が少子化の一要因という捉え方もでき、経済の充実、多様な価値観の浸透、キャリアや自分時間へのトレードオフの解消なども重要な視点になってくるかもしれません。
また、結婚意向が下がっている中で、「どちらとも言えない」と答える女性の増加幅が大きいというのも、注目するべき一つの特徴です(2017年調査から8.6ポイント増加)。結婚をしたくないと明確に思っているわけではなく、「いい人がいればしたい」「タイミング合えばしたい」など態度を保留にしているマインドもうかがえます。この層がこのまま増えていく可能性もあり注視していきたいポイントです。
また、「職場状況」と「結婚意向」の関係性に焦点を当て見てみると、結婚意向有無別比較で、男性で最も差が大きかったのは「休暇が取りやすい職場である」、女性で最も差が大きかったのは「既婚者が多い職場である」となりました。ここから、男性は「時間的に余裕が取りやすい環境であること」が、結婚意向アップへ関係し、女性は、「家庭を築きながらキャリアも継続しているロールモデルが職場にいること」が、結婚意向の後押しになるという見方もできるのではないでしょうか。
多様化が進む世の中において、「恋愛」や「結婚」に対する意識も例外ではなく、多様な価値観が広がっています。この調査の中でも、価値観や状況の変化、そこから具体的な課題や、今後の兆しに繋がる糸口も多く見られました。結婚をするかしないか、したいかしたくないかは個人の選択です。一方、社会で議論が進んでいる少子化について、一要因である未婚化を考えることで少子化課題のヒントになっていく可能性もあり、今後も分析を進めていきたいと考えています。

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