リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

パートナー間の親密性と結婚式の関係調査

2022年9月6日、最新のプレスレターをリリース!
そこから読み取れるマーケットやカスタマの変化を解説します。

調査概要 2022年3月17日(木)~2022年3月22日(火) 20~39歳の既婚者を対象に、親密性の変容を研究テーマとしている明治大学情報コミュニケーション学部専任准教授 田中 洋美 先生と共に、パートナー間の親密性と社会的価値の関係、結婚式の内容がパートナー間の親密性にもたらす影響を調査しました。
出典記入方法 調査結果の出典については「パートナー間の親密性と結婚式の関係調査」と必ずご記入ください。

パートナー間の親密性の高さのポイントは、
結婚式準備において「二人で準備と決断を実施」「振り返りと未来への意味付け」
結婚式当日では「自分たちらしさの実現」「双方向のコミュニケーション」

1.パートナー間の親密性の効用

親密な関係をパートナーと築けている人ほど、生活、人生に満足しており、幸福感が高い

 親密性の度合いが高い人は親密性の度合いが低い人より「パートナーとの関係に満足している」「この先の人生が幸せだと思う」「生活全般に満足している」「パートナーとの絆を感じる」「幸せである」などと、感じており、親密性は幸福感、生活満足度と関係している。

2.パートナー間の親密性と結婚式の関係

「結婚式準備」
親密な関係性のカギは「準備と決断を二人で行うこと」と「人生の振り返りと未来への意味付け」

 親密性の度合いが高い人と親密性の度合いが低い人との差の大きい上位10項目は「パートナーと協力しながら準備ができていた」「自分の人生を振り返る時間があった」「準備を楽しむことができた」「何か決めるときは相手任せにせずに二人で決めた」「親の意見も柔軟に取り入れていた」「二人の未来にとって、どんな結婚式になったらいいのか、二人で相談した」「パートナーとの準備の協力を通して、相手の良いところが見えた」「パートナーとの未来について考えたり、話す時間があった」「二人の未来にとって、どんな結婚式になったらいいのかプランナーとも共有していた」「よくパートナーと意見をぶつけあった」であった。

「結婚式当日」
親密な関係性のカギは「自分たちらしさの実現」と「気持ちを伝える双方向のコミュニケーション」

 親密性の度合いが高い人と親密性の度合いが低い人との差の大きい上位10項目は「自分たちが祝福されていると感じる機会があった」「結婚式に満足した、楽しむことができた」「親に心を込めて感謝や気持ちを伝える機会があった」「誓う機会があった」「自分たちらしい結婚式を挙げられた」「親しい人だけ招待した」「パートナーに感謝や気持ちを伝える機会があった」「(親、ゲストと)ゆっくりと話すことのできる機会があった」「感謝の気持ちを言葉で伝える演出があった」「なるべく二人に関係のある人を多く招待した」であった。

親密性とは
私的な社会関係について考える上でのキーワードの一つです。良好な夫婦関係・結婚生活・ウェルビーイングの基盤とされ、相手と共に経験するコミットメント、情動的・認知的・身体的な近さによって決まるといわれています。
(明治大学准教授 田中 洋美 先生)

Press Letter ダウンロード

Press Letter2022/9/6 更新

専門家からの解説

明治大学 情報コミュニケーション学部 専任准教授 博士(社会学)
田中 洋美 先生

 誰かと良好で親密な関係を築くことは、その相手との絆を深める上で不可欠であり、ウェルビーイングを規定する重要な要素と見なされています。本調査からは、そのための重要な行動の一つが、「共同作業」と「コミュニケーション」であることが分かります。

 結婚式においては準備期間も長く、お互いの希望の擦り合わせなど多くの工程があり、コミュニケーションを重ねる必要があります。このような工程を共に乗り越えることで、将来必要な価値観の擦り合わせもできるでしょう。親密な関係の構築において、このような「共同作業」を通してお互いの価値観を把握することや、二人にとっての重要な決め事を“二人が決めた”というプロセスがとても重要なのでしょう。

 また結婚式当日においても、“自分たちらしい”と感じる結婚式の実現と、大切なゲストから“祝福されている実感”を得られることが、二人自身の自己肯定感につながっているようです。加えて、参列したゲストに対して誓うことや、親に感謝の気持ちを伝えるといった言葉や行動など、目に見える形でのコミュニケーションによる相互作用が、親密性の度合いを高める背景にあるものと考えられます。

ブライダル総研 担当研究員の解説

 この調査ではパートナー間の良好な関係性を「親密性」と表現し、特にパートナーシップの構築と結婚式の関係性を分析しています。明らかになった点は、大きく2点。パートナーとの親密性が幸福度への影響が大きい点。そして、その親密性と結婚式の準備や、当日の迎え方が親密性に一定度影響がある点です。つまり、結婚式の準備や当日の迎え方を工夫することで、親密性に影響し、さらには幸福度に影響を及ぼす可能性があるということだと考えています。

 特に、結婚式準備では、「二人で決断をすること」そして「時間軸への意識」がポイントになっています。おそらく大きな決断をする機会が多くなかった二人にとって、自分たちでいろいろと調整し、決断する経験を行っていること、また、結婚式をきっかけとした「過去の振り返り」と「未来についての擦り合わせ」など、人生という大きな時間軸の中で結婚式を捉え、二人にとっての意味を見いだしていることが影響していると考えられます。

 別の視点で見れば、結婚式を提供する事業者やウエディングプランナーは上記2点を意識し、新郎新婦とコミュニケーションを図り、プランニングすることで新たな価値につながっていくこともあると思います。また、そのような準備を経たからこそ、結婚式当日がより自分たちらしく、さらには親、ゲストとの感謝や祝福など双方向のコミュニケーションに結びついていくのかもしれません。

 昨今、結婚式は画一的なスタイルから多様化しています。自由なスタイルが選択できるからこそ、結婚とは二人にとって何か。結婚式にどういった意味合いを持たせるのか。二人の間で意識し、いま一度話し合うのはもちろん、ウエディングプランナーと一緒になって結婚式を創る過程を充実させていくことによって、これまでよりも価値あるパートナーシップを築くことができるかもしれません。

データご利用の際の注意点

出典元を明記していただければ、基本的にご利用いただけます。出典元の記載方法についてはこちらをご覧ください。また、ご使用に際して「株式会社リクルートお問い合わせ窓口」までご一報ください。

お役立ちリンク集

人口について

日本の人口構造に
ついて知りたい①
国勢調査報告(総務省統計局)
性別・年齢別、国籍・配偶関係・世帯・教育程度等、就業状態・産業・職業社会経済分類、収入の種類、市区町村等の人口データ
日本の人口構造に
ついて知りたい②
住民基本台帳人口移動報告(総務省統計局)
市区町村が作成した性別・年齢別の人口、世帯数、1年間の人口動態データ
最新の人口分布を
知りたい
推計人口(総務省統計局)
国勢調査実施年以外の10月1日現在の年齢別、県別、性別の人口データ
日本の将来の人口と
推移を知りたい
将来推計人口データベース(国立社会保障人口問題研究所)
100年先までの日本の人口を都道府県別・市区町村別等の予測データ
人口に関する
様々なデータを知りたい
人口統計資料集(国立社会保障人口問題研究所)
人口に関する主なデータついて一覧掲載
世界の人口分布と
推移を知りたい
世界の統計(総務省統計局)
国連やWHOの統計に基づいた世界の人口データ

婚姻組数について

婚姻組数・再婚組数の
推移を詳しく知りたい
人口動態調査(厚生労働省)
婚姻・離婚等の組数データ。出生死亡等も扱う。
婚姻組数の長期的な
変遷とトピックスを知りたい
人口動態統計特殊報告「婚姻に関する統計」(厚生労働省)
婚姻の動向についての分析結果
将来の婚姻組数の
予測が知りたい
婚姻組数予測(リクルート ブライダル総研)
ブライダル総研作成婚姻組数予測(2015年9月更新)

結婚と結婚生活について

夫婦の家庭での役割・
生活意識の変化を知りたい
家庭動向調査(国立社会保障・人口問題研究所)
家庭の出産、子育ての現状、家族関係の実態資料
結婚・出産・就業への動きを
属性別に知りたい
21世紀成年者縦断調査(国立社会保障・人口問題研究所)
結婚、出産、就業等の実態及び意識のトラッキング調査
男女の出会い~結婚~
出産の変遷を知りたい
出生動向基本調査(国立社会保障・人口問題研究所)
結婚と夫婦出生力の実状・背景の調査資料

消費動向について

時事の社会的テーマから
消費を読み解きたい
国民生活白書(内閣府)
内閣府が毎年1回まとめて発表する、国民生活全般についての動きや変化を分析した年次報告書

結婚式場運営について

個人サービス産業の
動向が知りたい
特定サービス産業動態統計調査(経済産業省)
結婚式場業の最新の売上高・取扱件数・従業員数等の調査結果
個人サービス産業の
主要指標を見たい
特定サービス産業実態調査(経済産業省)
結婚式場業の事業所数、就業者数、年間売上高等の調査結果
About us ブライダル総研について
「リクルート ブライダル総研」は、恋愛、結婚、家庭生活全般に関する調査・研究、未来への提言を通じて、ブライダルマーケットの発展と社会課題の解決に貢献することを目的として活動しています。