リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

大切な人が明確になったアフターコロナの世界。
結婚式に及ぼす影響とは

あと1か月と少しで2020年が終わろうとしている。今年は新型コロナウイルス感染症の流行により、ある意味特殊な一年だったのではないだろうか。新型コロナウイルス感染症の猛威は、結婚式にも大きな影響を及ぼし、緊急事態宣言中の4月~5月に結婚式を予定していた人の約7-8割が延期を余儀なくされた。コロナ禍を経て結婚式はどのようになっていくのだろうか。

コロナウイルス感染拡大後の結婚式意識調査(ゼクシィ編集部調べ)によると、20~40代男女の8割以上が「コロナ禍中に人間関係やライフスタイルに変化があった」(82.0%)と回答している。特に注目したいのが、人間関係の変化だ。「コロナ禍中に自分の人生に欠かせない人が誰か明確になった」(54.7%)、「コロナ禍中に自分が大切だと思う人の範囲に変化があった」(51.2%)と、半数以上の人にとって人間関係を振り返る機会になったことがわかる。その背景にあるのは、やはり“ステイホーム”なのではないだろうか。これまでは、意識せずとも学校・職場に行けば比較的簡単に直接人に会うことができ、大事な人が誰かを考える機会が少なかった。その当たり前が制限されることで、周囲の人のありがたさに気づき、誰に会いたいかが明確になったり、ステイホーム期間中に自身の将来を考え、その将来に不可欠な人をイメージする機会になったのではないだろうか。大切な人が明確になり範囲が狭まった人もいるだろうし、大切な人に改めて気づき、範囲が広がった人もいるだろう。

では、結婚・結婚式についてはどうだろうか。結婚式へのコロナ影響調査(ゼクシィ編集部調べ)によると、2019年4月~2020年3月までに結婚式をした“Beforeコロナ層”と、2020年4月~2021年3月に結婚・結婚予定でこれから結婚式を検討する“Afterコロナ層”では、結婚を機に行いたいことにおいて、「二人が結婚したことを家族・親族に承認してもらいたい」(Beforeコロナ層 70.6%/Afterコロナ層 70.4%)、「家族・親族にこれまでの感謝の気持ちを伝えたい」(70.3%/70.3%)、「結婚したことのけじめをつけたい」(66.9%/65.8%)という、“感謝”“承認”“しるし”にかかわる気持ちに大きな差なかった。一方で、「二人の誓いを立てたい」(Beforeコロナ層 54.2%/Afterコロナ層 61.4%)、「自分と結婚相手の絆やつながりを確認したい」(65.3%/70.3%)といった、“二人のしるし”は、Afterコロナ層が高い結果となった。結婚式の本質である“感謝”承認“しるし”は、コロナ禍を経ても不変であり、危機的な状況を体験したからこそ、より“しるし”が求められるようになっていると考えられる。そして前述の人間関係の変化と結婚式には密接な関係がある。新型コロナウイルス感染症拡大後の結婚式意識調査(ゼクシィ編集部調べ)で大切な人の数と招待客人数は関係が深いことが分かった。これまでも結婚式は当たり前に行うものではなく、するかしないかを選択するものになっており、招待客もタテマエで招待するより、親しい人を本当に招待したい人に厳選する人が増えてきていたが、今回の新型コロナウイルスの流行によってその傾向がさらに進むのではないだろうか。コロナ禍を経て、明確になった自分の大切な人に、“感謝”を伝え、“承認”をもらい、夫婦間で“しるし”を強固にする本質的な結婚式が今後加速していくと考えられる。加えて、大切な人を中心におくことで、結婚式での時間の使い方が変わってくる可能性もある。大切な人1人ひとりと目を合わせて気持ちを伝えられるよう、「二部制」や「宿泊ウエディング」など、招待客1人あたりにかける時間をしっかりと持てるウエディングのニーズも高まってくるのではないだろうか。

徐々に新型コロナウイルス感染症があることが当たり前の日常になりつつあり、また事業者側もガイドラインをもとに感染症対策に徹底した結果、徐々に結婚式の実施も増え始めている。

新型コロナウイルス感染症というこの誰も経験したことのない未曽有の事態は、結婚式の本質を問い直し、新しい結婚式のスタイルを生み出すきっかけともなったのではないだろうか。

※全国953屋号の結婚式会場へのヒアリングより算出(2020年9月30日時点)
※コロナウイルス感染拡大後の結婚式意識調査(ゼクシィ編集部調べ)
※結婚式へのコロナ影響調査(ゼクシィ編集部調べ)