リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

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~飲んで、食べて、肩組んで~

2人の要望を、ヒヤリングと行動力で叶えた「前代未聞の結婚式」。
2人の世界観にゲストをお連れしもてなす結婚式を、3人で白紙から構築

大沼 千尋(おおぬま ちひろ)さん
(山形県 パレスグランデール)

中学校教員からウェディングプランナーへ転職。「優れるな、異なれ」をモットーに、自身の強みに磨きをかけること、人とのご縁を大切にしています。大好きなお酒を楽しく飲むため、日々努力を惜しみません!

前代未聞の結婚式とは何なのか?
とことん聴き、寄り添うことで 2人の要望を一つひとつ叶えてゆく

 「前代未聞な結婚式がしたいんです!」それが、明るく、エネルギッシュな2人からの要望でした。中学校の教員から転職して1年目の私には、ハードルの高いリクエスト。圧倒的に経験値が低いため、いろんな人に相談してアイデアをもらうものの、いくら素敵な意見を聞いても、案に「これは前代未聞なのか?」と疑問がよぎりました。白紙の進行表に、日々増していく不安と焦り。意気消沈しながら上司に相談し、一緒に悩み、考えぬいた先に出た「そこまで悩むなら、白紙の進行表をそのまま持って行ったら?」というアドバイス。葛藤の末、「2人の色を出すためにも改めて想いを聞き、一緒に一からつくり上げたい」と率直な気持ちを伝えました。最初は驚いていたものの、思い切って腹を割ったことで築けた関係性。そして、少しずつ見えてきた進行。型にはめない自由な発想に2人の熱量が高まる瞬間を実感しました。引き出しのない私でも前職を生かし、話に耳を傾け心に寄り添うことはできる。こうして「普通」に囚われない2人が持つ独自の世界観へとゲストを招く結婚式をつくり上げていくことに。

経験値が低いからこそ生まれた逆転の発想。
キーアイテムも活用し、「ゲストを楽しませたい」をクリア

 3人で一番こだわったのは、入場シーンです。みんなが待つ会場に2人が入場するのではなく、2人がドアオープンしてゲストをフラワーシャワーでお出迎えするサプライズ。そんな逆転の発想は、経験が浅い私だからこそできることでもありました。

 カプセルトイの「婚約指輪」ならぬ「こんにゃく指輪」を贈ったエピソードをもじり、カプセルトイをキーアイテムに決定。新郎中座のエスコート役の抽選や、ファーストバイトに使うアイテムの抽選など、いたる演出で活用、盛り上げます。さらに、当日までゲストを最優先してきた2人に、私からアンコール登場のサプライズ。退場した2人がカプセルトイを回すと、「まだまだ続く⁉」同時に会場内からきこえるコールと手拍子。再入場した2人をゲストが囲み、グラスを重ねながら祝福する仕掛けも行いました。

披露宴では2人が自らドアを開けてゲストを出迎えました。新鮮でインパクトのあるお出迎えはゲストも思わず笑顔に。

大きな不安を自信に変えるため行動し、学び続けた3カ月間。
その努力が生み出した嬉しい言葉

 楽しいだけで終わらせたくなかった私は、「最後にしんみりするのは嫌」という2人に、今日だからこそ!自分の言葉で気持ちを伝えることを提案。「らしさ全開でまっすぐな言葉を。みんなもそれを待っていますよ」と伝えました。多様化が叫ばれる中で、2人がやりたいことを実現するだけでなく、結婚式の本質や意味を伝えることも、プランナーの大切な役割だと実感しました。

 今回、私の知識や経験不足による大きな不安は、行動することでカバーし、自信に変えていきました。空き時間は常に相談、別の打合せや本番に同行。プランナー以外のスタッフの動きにも張りつきました。

 私自身の努力と仲間の支えもあり、創り上げた披露宴の最中、「2人が創り上げた世界を楽しめていますか?」と声をかけると、「僕たちが見たかった景色はこれだったんだな」とポツリとつぶやく新郎。美術館や海外旅行に多数行き、素敵なものをたくさん見てきた2人に、「まだ見たことのない景色」を見せることができた。それは、単なる演出の提案ではなく、その背景にある意味や感情を深く理解し、演出に想いをのせて表現できたから。だからこその言葉だったのではないでしょうか。

 2人にとっての「人生最高の景色をともに描く!」。これから出会う2人とどんな景色を描けるのか、今からワクワクしてしょうがないです‼

進行中にゲストにカプセルトイを回してもらうことで、ゲストに楽しんでもらえる演出となりました。

評価のポイント

多様なライフキャリアがプランニングにも生きる時代です。大沼さんは、プランナーに転職後すぐに「前代未聞の結婚式」をお客様から要望されますが、圧倒的な周囲への働き掛けで、結婚式づくりのヒントを最速で集めます。それをただ鵜吞みにするのでもなく、前職の経験も生かしながら、本当に新郎新婦にとって大切なことを考え抜き、自分らしい介在で結婚式をカタチにされていました。越えられない壁なんてない、沢山の勇気を私たちに与えてくれました。