一貫してこだわりぬいた「謎解き」演出
裏には全員が理解しあえる仕掛けと想いをしっかり込めて
プランナー歴5 年。大切にしていることは「笑顔」。自分が笑顔でいることで新郎新婦をはじめ結婚式に関わるすべての人たちに笑顔のリレーができる、そしてその空気が「いい結婚式に繋がる」と信じているから。
プランナーとして伝えたい想いを裏のテーマとして込めたゲーム
新郎新婦の共通の趣味は「謎解き」。謎解きイベントに参加し、二人が協力して答えを見つけていくことにその楽しみを見出したことがきっかけ。そんな二人の希望は「ゲストみんなに参加してもらえる、心に残る楽しい結婚式」。そこで私は「謎解き」をテーマにすることを提案しました。いい結婚式を創る上で欠かせないのはテーマです。テーマを明確にすることで二人らしくその気持ちをゲストに伝えてもらいたいと思いました。そこで、怪盗Xに盗まれたウエディングケーキを探し求めゲスト全員で謎を解く、という壮大なゲームを仕掛けることに。
一方、この壮大なゲームへの準備を重ねていくなか、私自身が新しい謎に直面することとなります。ゲームの内容を考え、掘り下げていくことだけが心に残る楽しい結婚式につながるのか。このままではゲームをしただけの楽しい会になってしまう。
結婚式とはお互いはもちろん、大切なゲストの皆さんとの「未来への絆」を深める場。謎解きという全員の共同作業で、出会いの奇跡に価値を見出し、二人とゲスト、そしてゲスト同士がお互いを知る場にしたい。今後の人生に置いてかけがえのない存在であることを再確認してほしいと思ったのです。
- 盗まれたケーキを探すというゲームを通して、ゲストたちも次第に打ち解けあっていきました。ゲスト全員参加型の結婚式を望んでいた新郎新婦はこの演出に大満足。そしてゲスト同士の絆も深まり、このゲーム演出に一貫してこだわって本当によかったと感じます。
結婚式の準備を通して、二人の絆も深めていただく
謎解きウエディングは二人手作りの招待状から始まります。招待状は、怪盗からの「挑戦状」。届いた瞬間からゲストを謎解きの世界へ引き込むことが狙いでした。そしてもう一つ、招待状を手作りすることで、二人の間柄をより深くしたい、という狙いもあったのです。誓いの言葉にも謎解きに必要となるヒントを忍ばせつつ、「『口下手な僕』と『おしゃべりな私』けんかをしても話し合いの時間を作ります」など、互いの性格の違いを意識して作るようお願いしました。二人の違いを新たな魅力として認め合ってほしいという私の想いを込めて。
そして、結婚式当日、披露宴がスタートするとウエディングケーキが盗まれるという事件が起こります。ゲストは席に置かれた暗号カードを手掛かりにケーキを盗んだ犯人を捜します。謎解きを通してゲスト全員が打ちとけ、最初の遠慮はどこかに行っていました。その後、会場全員の協力で犯人が見つかります。犯人は、なんと新郎新婦を引き合わせたキューピッド！ 二人にとって大切な人も、この結婚式で紹介することもできたのです。
- ケーキを盗んだ犯人は、新郎新婦を引き合わせたキューピッドの男性。二人の大切な友人をゲスト全員に紹介する機会を演出しました。
人生は謎解きの連続。プランナーもそれは同じ
ウエディングプランナーの仕事とは、新郎新婦の想いをくみ取り、提案して形にしていくこと。それはもちろんですが、結婚式はこれから幸せな夫婦になるための決意を固めてもらう場でもあります。実は、私はこの結婚式でテーマを２つ考えていました。1つ目が「みんなが参加できる」という表のテーマ。そして２つ目が、「二人とゲスト、そしてゲスト同士の絆を深めてもらう」という裏のテーマ。これは、プランナー柳麻祐としての「譲れない想い」。この「表の狙い」と「裏の狙い」の両方が組み合わさってこそ、「いい結婚式」は生まれるのだと思います。
結婚式の謎には新郎新婦の数だけ答えがある。その答えを解く探究心こそが私の原動力です。これからもその謎を解き、目の前にいる大切な二人を私が必ず幸せにしていきます。
作り込んだ演出には、必ず魂を吹き込むことが大切
テーマ設定、演出の作り込み、それももちろん大切ですが、テクニックだけに偏ってしまわないよう気を配り、家族やゲストへの感謝の気持ちが演出を通して伝わることを意識しています。新郎新婦の気持ち、ゲストの立場に立って、また時には仲間からのアイデアをもらって演出を組み立てること。その経験がプランナーの糧になると思っています。
審査員の目
結婚式に参加するみんなを笑わせ、楽しませたい！そんな徹底した「エンターテイメントの仕掛け人」としての役割を果たすと同時に、全員がその中で互いに分かり合い、絆を深め、この先の未来を強く生きていくための関係性をつくり上げるお手伝いをする。今回柳さんがプランニングされた結婚式は、きっとこの先必要とされる新しい結婚式のモデ ルになっていくことでしょう。（2015年10月15日更新）