リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

Be myself -描き繋ぐ-

「何でもいい」という新郎と「無駄なことはしたくない」という新婦。
その奥に潜む真意を見出して導いた、【超ゲストファースト】の式

中尾 友香(なかお ゆか)さん
ブルーグレース大阪(大阪府)

2010年ブラスに入社。プランナーの経験を積み、産休育休を経て復帰。休日は家族3人でテニス、早朝に一人でコーヒーを飲むのが至福の時間。新郎新婦や仲間、誰に対しても飾らず自然体でいる事を大切にしている。

結婚式に後ろ向きな新郎新婦。
ゲストへの配慮から生まれる葛藤に気付き、2人にとっての価値を見出す

 2年前。産休が明けて時短社員として復帰した私は、子育てに追われる中で結婚式を手掛けることに自信が持てずにいました。そんな中葛藤しながらも引き受けたのは、温度感が低めの2人。ある打ち合わせで、友だちをもっと呼びたそうな様子で、新郎のテンションが珍しく上がりました。2人が新居を構えたのは、新郎が生まれ育って仲間もたくさんいる町。オープニングムービーで新居から会場までを撮影しようと提案すると、愛車も撮ってほしいと初のリクエストが。熱量に少し変化が起きているのを感じました。

 そこで一歩踏み込み、結婚式の演出を「無駄」といつもいう新婦に、真意を確認してみました。聞けば、列席するたび、幸せを披露するだけの演出に意味を見出せず、お決まりの時間に嫌気がさしていたとのこと。「無駄なことはしたくない」という一見後ろ向きな言葉の裏には、「自分よがりはいや。みんなを退屈させたくない」という、ゲストへの気遣いが隠れていたのです。これこそが2人にとっての結婚式の価値なのだと、私は気づきました。

 ここからはプランナーの本領発揮!
「大事な人をできる限り呼んで、盛り上がり重視の式にしませんか」「年末なので忘年会のような式はどうでしょう」とグラフィックレコーディングを使って提案すると、「あと何人呼べます?」「甘くなくて私たちらしい」と2人とも笑顔に。かくして大忘年会をテーマに、2人の価値【超ゲストファースト】を実現するプログラムを構成。納得を引き出しながら、結婚式と2人を丁寧に繋いでいきました。

コンセプトは「年末の超大忘年会WEDDING」。階段に設置されたコタツは全員に大好評でした。

お決まりではない、2人ならではの演出が光る、斬新な大忘年会結婚式。
挙式ではお母様に寄り添って…

 ゲストは100名超えとなり、挙式後はフラワーシャワーならぬ「宝くじシャワー」を。みんなからの祝福を浴びるのではなく、2人自身がお楽しみを撒くという逆転の発想に、ゲストの笑みが溢れます。ウェルカムパーティでは会場をフルに使い、それぞれの友人と過ごす、忘年会らしい賑やかな空間を演出。和装入場後は年末の定番・年越しそばのビュッフェ。そばを持ち向かうのは、全員で撮影できるよう工夫した斬新なこたつフォトブース。ゲストからも大歓声が起こりました。

 実は私が一番こだわったのは、挙式。2人が嫌う定番感をはずしながらも、家族の愛を感じてもらいたかったからです。新郎のお母様が作ってくれたリングピローに、新婦が幼い頃から大切にしているピンキーリングもセット。本来はプランナーがアテンドすべきですが、あえてお母様に依頼し、ピンキーリングを新婦の指に着けてもらう儀式を行いました。さらに2人の心に愛を届けるべく、お母様たちに手紙を依頼。「上手に読めない」という新郎のお母様に「上手じゃなくていいんです。普段の言葉にこそ価値があるんです」と伝えながら、母親になったからこそお母様に寄り添えたのかもしれないと気づきました。わが子の体調不良で迷惑をかけたり仲間に助けてもらったりしましたが、今の自分が結婚式を手掛けてもいいんだと思えた瞬間でした。

お母様に寄り添い実現した手紙の朗読。家族愛に満ちた挙式が実現しました。

プランニングをアップデートして時代背景とかけあわせ、
新たな価値を生み出せるのはプランナー

 2人からは「結婚式を挙げてよかった」「自分たちが参加したいと思えるような1日だった」と、当初からは想像できない言葉をもらいました。

 コロナ禍は社会の多様性を後押しし、その結果、結婚式の存在すらも見極める時代になったのかもしれません。ようやくしがらみがなくなった今、ブライダル業界に必要なのは、時代背景にかけ合わせてプランニング方法もアップデートすること。これによって、結婚式に意味を吹き込み、新たな価値を生み出すことができる!
そう思います。

評価のポイント

結婚式をやる意味を見出せずにいた新郎新婦に対し、中尾さんは、「2人にとって本当に価値があるものとは何か」という問いを自ら掲げ、丁寧に紐解かれていました。ママプランナーとしての経験や人生観をもヒントにしながら、学び直しで取得したグラレコの手法を取り入れるなど、中尾さん独自の工夫が見られました。「全ての経験はお守り」どんな体験も生かすことができる。これからのプランナーとしてのあり方や未来の可能性を感じさせてくれました。