2人の「楽しい」を徹底解剖。大好きな人たちが繋がる喜びを味わい
全員が大きな一つの家族になれる、2人が求めていた結婚式を実現
高校生からサービスのアルバイトをスタートし、サービス歴4年目プランナー3年目。「息をするように笑い、生きている限り愛しなさい。」大切にしている言葉。無条件に愛を与えることのできる人であり続けたい。
「楽しい」を探って見えてきたのは人との繋がりを大事にする姿勢。
繋がりを持てる結婚式に舵を切る
優しい新郎と、ハッピーオーラ溢れる新婦。「いかにもな結婚式は照れ臭いので嫌」と語る2人が口にした、「楽しければいい」という何気ない一言に、私は自問しました。楽しい結婚式を作るのは簡単だけど、そもそも2人にとっての「楽しい」とは何なのだろう? まずは2人の好きなことについて、理由まで深く掘り下げて聞くことにしました。いくつも挙げられる「楽しいこと」に必ず登場するのは、誰かの名前。私は、2人が楽しいと感じることのすべてに、必ず大切な誰かがいると気づきました。
前撮りには消極的な2人でしたが、日常を見ることでヒントが得られるはずだと思った私は今までになく食い下がり、いつものデート姿を撮ろうと熱量高く提案。前撮りが実現しました。お店の人や、祝福の声をかけてすれ違う人たちとのやりとりを見るにつれ、2人が人と人との繋がりをとても大事にしていると確信。大切な場所で大切な人と過ごし、繋がりが増えていくこと。それが2人にとっての楽しいことなんだと気づいた私は、2人はもちろんゲストやスタッフみんなが一つの家族になれるような結婚式を作りたいと強く感じました。
- 前撮りでの2人の前向きな言葉は、チームが本当に繋がったように感じました。
思い切って進行表をまっさらに。
生まれた余白が、2人らしい素敵な温かい時間を紡ぎ出す
翌日私が見返したのは、スタッフへの指示が細かく書かれた進行表でした。2人と周りの人たちの自由で気さくな温かい雰囲気をありのままに表現し、2人が目指す「誰も見たことがない結婚式」をつくるには、余白のあるシンプルな進行表が必要だと確信。進行表に縛られることなく、「この通りでなければ」を捨てるために、シーンは頭の中にのみ描き、大枠だけ残して表をまっさらに。2人とスタッフを信じているからこそのチャレンジでした。
「ゲストを主役に」と言い続けていた2人でしたが、挙式だけは2人と家族を主役にするよう提案。大切な親御様に感謝の気持ちを伝える手紙と涙は、ゲスト全員の心に家族愛を届けてくれ、この空気感がその後の温もり溢れる時間を生み出しました。
メインパーティは、会場全員が一つの家族になるための仕掛けがいっぱい。新婦のネイルやヘナタトゥー、会場に飾られたトルコランプ、引き出物などはすべて、2人に縁のある人々の支えがあってこそのものでした。一つでも欠けていたらつくれなかった結婚式。それぞれを繋ぎ合わせるため、MCではなく2人がマイクを持ってゲストを紹介します。あえて進行表に余白を設けたことで2人とスタッフがより考え、力を合わせて素敵な空気を作ってくれました。
結婚式を終える頃には、ゲストから「今までにない式だった」「2人らしかった」との声が。また後日には2人から、大好きな人たちが繋がったとの報告とともに、私に任せてよかったという嬉しい言葉ももらいました。
- 進行表にあえて空白を。空気感や交流の時間を大切にして、二つの家族が一つになりました。
繋がりある全員でつくり上げた一日。
そこから得たのは、お客様と接する姿勢とプランナーとしての理想
プランナーがすべきことは、進行表に詳細を書き込むことでも、2人が好きなことをただ聞いて組み込むことでもありません。2人がしたいことを叶えられるように余白を残し、2人とスタッフ、ゲストを信じて一緒に最高の一日をつくっていくこと。その大切さを、それまでお客様との正しい向き合い方を知らなかった未熟な私に、この結婚式が教えてくれました。
大切な人の幸せは自分達の幸せに、自分達の幸せは大切な人の幸せに繋がる…そんな想いを持つ2人が、ゲストを大事にし、家族のようにつなぎ合わせることができた結婚式。2人とチーム、ゲストの想いをギュッと抱きしめて形にできるプランナーでありたい。そんな気付きを与えてくれたみんなに、感謝しています。
評価のポイント
新郎新婦の何気ない一言にたくさんのヒントが隠れています。丸茂さんはおふたりの言葉に潜む「本当の楽しさとは」を追求されました。新郎新婦との対話や準備期間を通じ、その答えが大切な人との関わり合いの中で育まれていることを知り、プランニングではあえて進行を固めずに、おふたりが自然体でゲストと繋がり合える場をカタチにされていました。お客様や仲間との信頼関係があってこそ、生み出すことができた愛に溢れた結婚式なのではないでしょうか。