スタッフから、そして新郎新婦からも積極的な
提案があり、みんなで作っていった結婚式でした。
プランナー歴5年。本格的なテーマウエディングに取り組んだのは、今回のご両家が初めて。スタッフに背景や想いまで伝えることで、みんなで最高のパフォーマンスを生み出す。映画、旅行など様々なものに興味を持ち、やりたいと思ったらやるという行動派。
最初にテーマを決めることで、みんなが同じゴールに向かって走ることができる。
私が思ういい結婚式とは、当日はもちろんですが、準備から当日までが心に残る思い出になることです。ただ当日までの花嫁の心理曲線は、予算のことや準備が忙しくて大変だとかで、上がったり下がったりを繰り返します。でも理想は、会場決定からずっとお客様のテンションが上がりっぱなしという状態。そのために私は、最初に二人のテーマを決めるようにしています。テーマとは、結婚式のゴールイメージです。ゴールが決まればそこに向けて、スタッフ全員を巻き込みながら、二人の気持ちが上を向き続けるように、サポートしモチベートしていけるからです。
テーマ設定のためにもまずカウンセリングを大切にしています。二人のことをとことん知り尽くし、理解し、価値観まで辿りつけるように。今回の二人の結婚式イメージは、宴会のような全員がわいわい盛り上がる場、というものでした。新郎は沖縄出身で、ご両親やご友人が琉球舞踊や三線をされていることもあり、小さな頃から琉球音楽が身近にありました。高知出身の新婦もまた、小さい頃からピアノなど楽器を演奏し、現在もオーケストラで活躍していらっしゃいます。そして二人とも将来は沖縄に移住したいというほどの沖縄好きでいらっしゃいました。この「宴会」「音楽」「沖縄」の3つのキーワードから、南国をイメージさせる「らくえん」をもじって「楽宴」というテーマをつくりました。このテーマを、支店を超え全社でスタッフ全員に共有し、一緒に準備を進めていきました。
- お色直し後の余興は、琉球舞踊とエイサー。会場のあちらこちらで音楽に合わせて踊り出す人が続出。披露宴の最後には、沖縄の方も高知の方もみんなでカチャーシーを踊って、新郎新婦をお見送り。会場は楽しい雰囲気と一体感に包まれていた。
スタッフ全員からのアイディアが集合。二人には準備も楽しんでいただく。
テーマが決まれば、いよいよ準備です。ゲストの期待と一体感を高めるために、私は招待状にテーマをいれましょうとまず提案しました。すると二人が、こんなのどうですかと、テーマを素敵なメッセージにした招待状を作ってきてくださいました。実際にそれが届いたゲストからは、どんな結婚式なの?とわざわざ電話がかかってきたそうです。他にもスタッフやパートナーからたくさんのアイディアが集まってきました。たとえば、『おじい自慢のオリオンビール』という歌をBGMに、オリオンビールを持って、ビールを注ぎながら入場したらどうか。そう提案してくれたのは、厨房スタッフです。お花屋さんは、事前にお伝えしていたテーマをもとにデザイン画を書いてくれました。また「スタッフもかりゆしウェアを着る」という提案をしてくれたのは、会場のサービススタッフ自身でした。
こんな風に、私が提案したというよりも新郎新婦とスタッフみんなで作っていった結婚式、という感じです。プランナーが何でも二人に代わってするのではなく、準備期間も楽しんでいただけるようにすることを心がけています。
- 音にあわせてパイナップル・ゴーヤ回し、当たれば沖縄グッズを贈呈。音楽が止まったときには、大歓声!
最後には、高知も沖縄も関係なく、みんなが踊り続けた。
当日、オリオンビールを持っての新郎新婦入場には、ゲストもびっくりという感じでした。次々と注がれるビールでいきなり乾杯。そんな感じで始まった結婚式で、エイサーを会場内でやっていたら、ご両親やゲストの方が自然に踊りだしたりと、終始ゲストの方も楽しそうでした。何よりスタッフも本当に楽しそうにお手伝いさせていただきまして、二人がしたかった、宴会っていう雰囲気を会場の中につくることができたのではないかと思います。
会の中盤では、一気に会場を暗転し、両親への感謝の手紙と記念品贈呈。中座後にBGMを新婦が大切にしているクラシックにチェンジし、新婦による生演奏も。これで披露宴の流れがぐっとしまりました。最後はまた沖縄の方も高知の方も関係なくみんなで踊って、二人をお見送り。二人の退場後もずっと踊り続けられていました。まさに楽宴と感じられる場をつくれたと思います。
HAPPYの連鎖を生み出す
この仕事を通して出会えた人との縁を大切に、新郎新婦の新たな人生の「縁」を紡ぎだす。これが、私のプランナーとしての使命だと思ってお仕事をさせていただいております。いい結婚式とは、ありとあらゆる絆を結ぶ場、その結果、HAPPYの連鎖が生まれるものだと私は思っています。今回の結婚式も、出席されていたゲスト様からご自分の結婚式のご依頼をいただきました。ゲストが、「結婚式っていいな」「自分もこんな風に結婚式を挙げたい」と思ってくれた、そんな式を作れたことは私の誇りです。
審査員の目
最初にゴールイメージを決め全体に共有することで、新郎新婦も、スタッフも、同じ目線でアイディアを出し合えるようにしたこと。また当日も、二人やゲストだけでなく、スタッフも本気で楽しみながらその宴の一員になったこと。それがイメージどおりの「楽宴」を創りだした秘訣だったことが深く納得できる発表でした。(2011年9月30日更新)