リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

第一弾 豊島 千紘さん(グランアクイール 所属)

第8回目のGOOD WEDDING AWARDでグランプリ賞を受賞 第8回目のGOOD WEDDING AWARDでグランプリ賞を受賞

2015年4月に(有)フローレスに入社し、
アクイール風彩の森迎賓館へ配属。
その年の9月にプランナーデビューをいたしました。
2019年3月にグランアクイールへ異動。
プランナーとして、当日までの準備や施行のお手伝いをしております。
併せて、後輩への指導等にも力を入れております。

プランナーの仕事を目指したきっかけ

昔、尊敬する恩師からこんな言葉を頂きました。
「私たちには、人生で3度 大切な人たちが集まってくれる日がある。
それは生まれる時、結婚をする時、亡くなる時だからこそ毎日に感謝して大切に生きなさい。」
当時、その言葉を聞き、とても衝撃を受けた記憶があり、ずっと私の中でお守りの言葉となっていました。

将来職に就くとき、人生で大切な日に携わることができたらきっと、誇りをもって、「人」と向き合うことができるのではないかと思いました。
結婚式という特別な日を選んだ理由は、人が誕生し、亡くなる途中のターニングポイントだったからです。
人生を振りかえるきっかけが、生きている途中、一度でもあれば、そこでたくさんの感謝と後悔に出会います。
伝えなければならない言葉は、きっかけさえあればちゃんと届けることができます。
家族や、友人、仲間と、もう一度絆を深め、存在の大切さを再確認できます。
そんなきっかけ創りをして人と人とを繋げられる仕事に就きたいと感じました。

結婚式という場所で私自身ができること…
それは、ずっと抱えてきた「後悔」に向き合う時間を創り、前に進むための踏み台に変えることです。
そして、大切な人へ伝えなければならない言葉をしっかりと届けられるように後押しできるような結婚式を創っていきたいと思っています。

“ 明日からの人生はきっとこれまでよりももっと幸せで最高な時間が流れる…”
そう思って頂けるような人生の糧となる特別な日を創り続けたいと思います。

印象に残った過去の企画(苦労した経験)

昔、外部プロデュースをすることになった時のお話。
新郎新婦様が選ばれたのは、ある神社での挙式と旅館での披露宴でした。
何もかもが初めてで、自身の式場で当たり前なことでも、旅館には勝手が通じないのはもちろん、ひとつひとつの構成や、シーン、全てが一からの勉強となりました。
会場に合うコーディネート、会場に合う雰囲気、当日の導線など…
お客様の要望を何とか形にしてあげたい、でも、どうにもできず途方に暮れていた時、一番の支えになってくださったのは旅館の女将さんでした。

会場での打ち合わせで、相談に伺うといつも優しく笑顔で迎えてくれ、
「体調は大丈夫?無理はしていない?」いつもそんな言葉をかけて寄り添ってくださいました。
初めてだらけの旅館でのプロデュース、私の中の不安な気持ちも、女将さんの優しさと笑顔で軽くなりました。
できる限り、新郎新婦様の希望に近づけられるようにと、旅館の料理長にかけあってくださったこと、不可能を可能にして下さったこと、心からの感謝しかありません。

今でも、旅館へ足を運ぶと変わらない笑顔で私の手を握って下さる女将さん。
「場所は違うけれど、千紘ちゃんが頑張って活躍してくれていると思うと私も頑張らなきゃ!って思うの」
そんな女将さんにパワーを頂いていたのはいつも私の方でした。
私のプランナー人生、本当にかけがえのない人たちばかりに支えられているんだと感じました。
大切な出会いから生まれる結婚式は、特別な瞬間を生んでくれるのだと感じた結婚式でした。
「またいつか、一緒に結婚式しましょう!」
そう最後に約束を交わした女将さんとの出会いは、この先も私の人生の支えとして存在してくれるのだと思います。

豊島さんが過去企画した結婚式での一枚
(サプライズで母親が目を開けると4姉妹が思い出の振袖姿で現われるという演出を取り入れた)

仕事にかける流儀、想い

私たちの仕事はお二人に何を与えることができるのだろうか…職に就いて間もない頃、そんな風に考える時がありました。
答えは、初めて担当プランナーとして携わった時、結婚式の中で見つけることができました。これまでの人生で生まれた後悔や感謝と向き合うきっかけをつくり、もう一度大切な人とお二人を繋ぐことだと。

5年目を迎えた今、欠かさず行っていることが一つあります。
それは、一組一組、新郎新婦様のご実家で行うご両親様へのヒアリング。
結婚式の準備期間はお二人だけでなく、家族にもあるべきだと思います。
お二人の人生を振りかえった時、その原点には家族がいるということを思い出してほしい…

そして、ご両親様にも忙しい毎日の中、一度立ち止まりゆっくりと昔を懐かしむ時間をつくってほしいと思っています。
そうすることで、忘れていた大切なものを見つけられるからです。

プランナーをしていて一番楽しい時っていつですか?とよく聞かれます。
当日お二人やゲストの皆様と過ごす結婚式の時間はもちろんですが、一番は、お二人が育ってこられたご実家で、大切なご両親様からお話しを伺う時間だと感じています。

昔を振りかえり懐かしいお話をする時間、笑顔で顔を見合わせるご両親様。
お話をしていくと当時の思い出が蘇り、自然と涙に包まれ、愛おしく温かい時間が流れます。
「そういえば、こんな作文書いてたな~」と、押し入れから取り出した少ししわくちゃになった小学生時代の文集。
お子様のページにはペンで印がつけられていました。
些細なことかもしれません。それでも、大切なことなんです。
ご実家でお話を伺うからこそ出てきた財産。
その瞬間、私はご両親様の言葉やお子様を愛する気持ちを必ずお二人に伝えられるような式を創る!と自分に強く約束します。

お二人がご両親様の想いを受け取ったとき、きっと夫婦としてのスタートが、もっと幸せに満ちていくものになると思います。

第三者を通してさらに家族の絆を強めることができることを、私自身お客様から教わりました。

自然と流れる涙、普段言えない言葉を伝えることができる不思議な空間…それが結婚式です。
リハーサルにはない、お二人がご両親様を抱きしめ、耳元で「ありがとう」とささやく姿。
「娘を頼むぞ」と、新郎様と力強い握手を交わし、唇をかみしめる新婦様のお父様。

この瞬間、「あぁよかった。プランナーをしていて本当によかった。」と感じることができます。
きっと、私たちはとてもラッキーなのだと思います。
なぜなら人生で最高の瞬間に最高の特等席で、結婚式というステージを見守り、サポートすることができるからです。
だからこそ、やり直しがききません。
私たちが、人生で起きた後悔に、もう一度立ち上がるきっかけを与え大切な人へ「ありがとう」と伝えられるように、背中を押してあげられるような人になりたいと思っています。
そのきっかけは結婚式だけではないかもしれないけれど、結婚式だからこそ蘇る気持ち、忘れていた大切な人からの愛を思い出すことができる場所となってくれることでしょう。
私たちの存在意義や、価値はいつもかけがえのないお客様から頂いています。
そのことに日々感謝を忘れずプランナーとして、一人の人として、また新たな家族と向き合っていきたいと思います。

GWAご登壇後の変化

受賞後、次々とテレビや新聞の取材、周囲から声をかけられることも増えました。
ご新規のお客様からはありがたいことに指名をして頂ける機会も増えました。
だからこそ、プロとしてちゃんとお客様と向き合えるのか…たくさんのプレッシャーや責任にかられることがあります。

ですが、変わらないことが一つだけあります。
それは結婚式を創る上でプランナーとしてはまだ十分自信がないことです。
担当させて頂く結婚式、不安に押しつぶされることはたくさんあります。
もちろん、同じくらいのワクワクもあります。
式後、ご家族や、お二人から感謝のお手紙を頂くようになりました。
そこには「さいこーだった。絆を深めることができた」と、書かれていました。
たくさんの不安から救われる瞬間でした。
お客様からの大切な言葉が私をいつも支えてくれています。
そして、ちょっとずつの自信や成長に変えてくれています。
「本当にありがとうございました。」と伝えるべきは私の方なのに、
「ありがとう」と言われるとまた頑張ろう。まだ頑張れる。そう思えます。
また、ある学生の方からメッセージを頂きました。
「春からプランナーとしてやっていきます。あの日、会場で豊島さんのプレゼンを聞いたときとても励まされパワーをもらいました。そしていつか、豊島さんにお会いできるように
私も頑張ります!」と。
正直、受賞後もくじけそうになった時は何度もあります。
でも、県をまたいで、これから活躍していこうとしている、結婚式に対して同じ気持ちをもった方からの温かなメッセージ。
そして、“頑張るしかないなら頑張ったほうがいい。”そう仲間に声をかけてもらったとき、一人じゃないんだと思えました。最高の職に私は出会えたんだと、感じることができました。

また、GWAのステージに一緒に立つことができた7名の大切なメンバーたち。
離れて仕事をする今も、また再会できることを楽しみに、連絡を取り合っています。
一緒にステージに立つことができた感動はこの先もずっと私自身の記憶に残り続けます。
たくさんの出会いをくれたプランナーの職に心からのありがとうを持ち
前に進んでいきたいと思います。

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