リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

第13弾 木山 妃香璃さん

結婚式を通して関わるひとすべての人生を豊かにする私にしかできない関わり方で最幸の一瞬をプロデュース 結婚式を通して関わるひとすべての人生を豊かにする
私にしかできない関わり方で最幸の一瞬をプロデュース

  • 第11回のGOOD WEDDING AWARDで準グランプリを授賞

現在のお仕事内容:営業担当から引き継いだお客様の打ち合わせ、当日のディレクション

プランナーの仕事を目指したきっかけ

「え、この仕事天職じゃん、私にぴったり!」と仕事内容を調べて読んだだけの高校2年生のとき、はっきりとそう思ったのを覚えています。もともとは犬が大好きで、犬と関わる仕事がしたいなと、いろいろ調べていました。そんな時に愛犬が亡くなり、こんなにツライなら、それを仕事にしてしまった時、きっとツラすぎると別の道を探すことに。おしゃべりがすきなので人と関わる仕事がいいな、結婚しても続けたいから少しくらい大変でもやりがいがある方がいいな、どうせやるなら自分が好きな事をして楽しんで、その延長線上で喜んでくれる人がいれば最高だな、と思いながら職種を調べ、ウェディンングプランナーにたどり着きました。日頃から自分の直感を信じて行動していたので、私の道はこれだ!と突き進んでそのまま専門学校に入学、今に至ります。

印象に残った過去の企画(苦労した経験など)

2021年4月。新郎新婦様ふたりだけで行った、当日前撮りと挙式。

おふたりとも医療従事者で、親御様も医療従事者で県外在住。とても人を呼べる状況ではない。そして新婦様自身がお仕事でコロナで苦しむ方や悲しむ家族を目の当たりにされており、こんな思いを大切なゲストにさせるわけにはいかない、と延期を考えておられました。そんな時にご懐妊が分かり、産む前に挙げよう、それもふたりだけで、と決めました。

このおふたりとは入社1年目に出逢い、長い付き合いだったので、、結婚式でああしたいこうしたいを沢山話してきたし、どんな人たちが来てくれるかもわかっていて、一緒にワクワクしながら準備をした思い出があったので、私は最初ただひたすらに悔しいと感じました。でも、ふたりが決めたこと。結婚式を挙げるのはふたりだから、いろんな思いがある中で決めてくれた決断を、【最大限いい形で未来に残す手伝いをするのが私の使命】と思い直し、全力プロデュースを開始しました。

挙式のみだけどカラードレスも着たい、前撮りもしたい、特に前撮りはバスケ部の先輩後輩だったふたりと、学生時代バスケ部だった私とでかなり盛り上がり、3人でジャンプボールしているショットを撮りましょう!と2年前から約束していたので、迷わず撮影することになりました。ただ前撮りというよりは当日撮りに。ご懐妊されている新婦様の負担を減らすため、ふたりだけだから日程を気にせず、平日のお昼に前撮りを行い、そのまま夕方から挙式をスタートすることになりました。今まで誰もやったことのない流れだったため、着付け料金はどうするのか、他に前撮りをされているカップル様もいらっしゃるので、挙式中かぶらないために撮影場所を工夫してもらわなければ、など少しイレギュラーはありましたが、関わる人みんながふたりの要望を叶えようと「できる方法を探して実行」してくれました。そして私は新郎様に、きっと、友人や大学のバスケ部のみんなは行きたかったはずなんです。できる限りでいいので、写真やメッセージを集めてきてくれませんか?とお願いして、新婦様へのサプライズを計画しました。

式前日に、分厚いアルバムとそれでも入りきれなかった大量の写真とメッセージと手紙と、なんと親御様からの手紙まで持ってきてくださった新郎様。こんなにも幸せを願われているカップルが他にいるのかと思ったのと同時に、仕事でいそがしい中、コンビニを駆け回って必死に写真を印刷してくれた新郎様に胸が熱くなりました。「あとは木山センスにお任せください!」と伝えて当日の朝、おふたりのお部屋にそれらを泣きながら飾りました。ふたり宛に届く沢山の電報と花束たちを見て、こんなに愛されている人が、なんで披露宴を普通に挙げられないんだ、挙げる時期が少し違えば、見えた景色や一生の思い出は大きく違っていたのに。私はプランナーなのに、ふたりに普通の結婚式を挙げさせてあげられない。そんな思いでいっぱいでした。

でも新婦様はそれを見て満面の笑みで喜んでくれて、それを見ている新郎様の笑顔も優しくて、少しはこの選択がふたりにとってプラスになったかなと思いました。念願のバスケショットも撮影し、前撮りも大満足で結び、せめて親御様にはと新婦様の携帯で中継を繋ぎ遂に挙式がスタート。この選択をしたから憧れだった時間帯で挙げられたと新婦様も嬉しそうでしたが、入場直前。とても寂しそうなお顔を一瞬だけされました。きっとベールダウンだと思いました。最愛のお母さんにしてもらえるはずだったセレモニー。今まで何度も見てきたのに実現しなかったその光景を考えているんじゃないか、そう思った時私は咄嗟に「ふたりでの入場ですね」と声をかけていました。新婦様はひとりの女性ではなく、お腹に命を抱えた「母」でもある。この子と一緒に人生を歩いていく。そう思ってほしくて出た言葉でした。新婦様は少し微笑んで入場していかれました。そして最後はもちろん、チームウエディングの見せどころ。事務所に電話をかけてスタッフに来てもらい、全力でフラワーシャワーを行いました。終日笑顔だった新婦様ですが、最後に私が挨拶をした時に初めて、抱えていた想いを解き放つかのように涙を流されました。私も嬉しいと悔しいと幸せと後悔が混ざってぐちゃぐちゃな感情のまま、精一杯想いを伝えました。

どんなカタチでも、愛する人とのこれからの人生を踏み出す最初の一歩に違いはなく、幸せになろうね、幸せにするねという想いの交換こそが結婚式の根幹なのだと気づかされました。

とにかく、幸せになってほしい。そして結婚式を挙げるという選択をしてくれて、結婚式を諦めないでいてくれてありがとう。その想いでいっぱいでした。ふたりが10年後、20年後も結婚式を振り返って話をするときの表情は穏やかであるといいな、女の子か男の子かもわからないお腹の子にも、いつかこの日の写真を見せながらふたりの言葉で結婚式を語ってほしいなと思いました。

テーマとしてプレゼントしていた「New Live Eve」の言葉通り、新しい人生の前日を素敵な形で迎えられました。

大好きなこのおふたりを担当できたことは私の一生の思い出であり、誇りです。

ご自身の仕事にかける流儀・思い

「結婚式準備で意見がぶつかることも多くて何回もケンカしたんですけど、ララシャンスに行く前の日はいつもワクワクで、宿題は全然終わってないのに、明日木山さんに会えるね、って月一の打ち合わせがいつも待ち遠しかったです。」と言ってくださったお客様がいらっしゃいました。

私はこの仕事を天職だと思って【楽しんでやる】ことを大切にしています。

正直、まだまだ“ひよっこ”のプランナー3年目の私には「流儀」として語れるくらい確固たる自分の仕事のやり方は定まっていません。ただ、そんな私でも、お客様には楽しい気持ちで準備をして当日を迎えてほしいと思っているし、そこに関わる仲間とも楽しく働きたいということはいつも考えています。すごくめでたくて喜ばしいことなのだから、そこに至るまでのプロセスもストレスなく楽しんで笑って進んでほしいなと。

このメールの返信一つ、事務処理一つ、お客様との何気ない会話の一つが結婚式を創っていると思い、使う言葉に気を付けたり、plannerとしてではなくひとりの人間としてお仕事をしています。私だったらどんなplannerに担当されたいか、その姿と今の自分を照らし合わせながら取り組んでいます。毎日反省ばかりですが・・・
そうやって向き合うことでお客様の存在がより近くに感じられて、繋がりも深まるし、本当に楽しくなってやりがいが倍増します。
この仕事って本当に特別で尊い仕事なので、このひとに出逢えて良かったなとか、この方々の結婚式に携わることができて幸せだったなとか、この人と一緒に働けた人生で良かったなとか、日々、人との出愛に感謝できて人生の財産をいくつも貰えます。

「木山さんが担当で幸せでした」お客様は皆そう言ってくださいますが、何十年経ってもそう思って貰えるのが本物だと思うし、様々な事情があり結婚式を挙げられていないふたりにも、出逢えて良かったと思ってもらえるように、今と精いっぱい向き合って心を込めていきます。

GWA受賞後の変化(ご自身・周囲)

人生が大きく変わりました!!
【大変】の文字通り、様々なお仕事の依頼が増えて、新しいコミュニティーと繋がる事もできとても充実しています。
GWAのことは専門学生時代から存在は知っていましたが、他人事だと思っていました。
初めてのエントリーは初めて担当した大好きなお客様との思い出sheetのような形で提出しました。エントリーシートの質問を考えた時、私はこのおふたりに何を伝えられたのだろう、どんな付加価値をつけてあげられたのだろう、もっとできることが沢山あったのに、と自分のプランナーとしての浅さにがっかりしていました。(それでもそのおふたりとは今でも付き合いがあるくらい、良い信頼関係は築けているのですが)

そこから、GWAで賞を取るくらい素敵な結婚式を担当する全組で創る!という目標を掲げ周りの人がどんどん応援してくれるようになり、2回目の応募でファイナリストに選んで頂きました。

まず思ったのは、こんなに心を揺さぶられる結婚式も、発信しなければ少数の人にしか届けられないということです。GWAがあったおかげで、お会いしたことも無い方から温かいメッセージを本当に沢山頂きました。担当しているお客様からも木山さんが私達のプランナーでとっても誇らしいです!とお言葉を貰ったり、贈ったコンセプトを改めて見返して大切にしてくれたりと、自分が想像していた範囲を軽く飛び越えた反響がありました。
だからこそ、素晴らしい結婚式を創り続けるだけではなく「伝え続ける」こともプランナーの使命だと気づかされました。

そして何よりも、人ってすごいなと、人との出逢いに恵まれすぎているなと感じました。
今回出させていただいたおふたりの選択を皆に認めてもらう為に、全国の頑張っているプランナーに想いを届ける為にエントリーシートの段階からプランナーの上司が本当に密に関わってくださいました。

たっくさんの方の想いが凝縮されたプレゼン動画と言葉だったので、それを背負って伝えられた当日の達成感はものすごかったです。改めてチームウエディングを誇らしく思ったし今ある環境に感謝出来ました。

受賞できた事で人生は良い方向へ大きく変わりましたが、これからもウエディングへの思いは変わることなく、仲間とお客様と一緒に素敵な結婚式を世に生み出していきます!

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