リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

第17弾 西尾 涼歩さん(エルダンジュガーデン)

結婚式を本当に価値のある1日にすること。GOOD WEDDING AWARDはブライダル業界みんなが繋がれる場所。 結婚式を本当に価値のある1日にすること。
GOOD WEDDING AWARDはブライダル業界みんなが繋がれる場所。

  • 第12回のGOOD WEDDING AWARDでソウル賞を受賞

現在のお仕事内容:2019年に大学を卒業後、新卒でウエディングプランナーとして、株式会社ブライド・トゥー・ビーに入社。新規接客から結婚式当日までサポートする一貫性のプランナーとして担当。
現在はウエディングプランナーとドレスコーディネーターの二刀流にチャレンジ中。

プランナーの仕事を目指したきっかけ

結婚式の持つチカラを実感したからです。
私がまだ中学生だった頃、ある日両親が親戚の結婚式へ二人で参列しに出かけました。当時、両親はあまり仲が良くなく、家でもよく喧嘩をしている姿ばかり目にしていました。そのため結婚式に二人で参列することも少し心配をしていました。でも、そんな心配をよそに、二人は仲良さそうに帰宅!楽しかった結婚式の話をしてくれる二人の姿、その光景が今でも忘れられないくらい衝撃で、それが結婚式の持つチカラと私とのはじめての出会いでした。

それまでは、結婚式=新郎新婦が楽しい1日と考えていました。でも、そうではなく、結婚式を通してこんなにも心を動かされる人がいること、結婚式にはそんなチカラがあると知り、気づけば結婚式が大好きになっている自分がいました。

大学時代には結婚式場でのサービススタッフのアルバイトを経験し、より結婚式の魅力を感じるとともに、親御様やご友人の姿を近くで見ることで、「この瞬間のこの表情を新郎新婦に届けたい」と感じていました。もっともっと価値のある、この結婚式に関わった人全ての心が動く、結婚式を創りたい!その想いはいつしか、ウエディングプランナーになりたいという私自身の夢であり目標に変わっていました。

印象に残った過去の企画(苦労した経験など)

プランナーとして初めて1人で結婚式のお手伝いをさせて頂いたお二人のご結婚式です。
結婚式は2020年4月。当時新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっていました。挙式1ヶ月前のお打ち合わせの日いつも楽しそうなお二人に、笑顔はありませんでした。「結婚式キャンセルしたいです。」私が一番恐れていた言葉でした。

しかしどうしても、私はこの言葉を受け入れることができませんでした。なぜなら、新婦様のお母様は目の病気を患っていらっしゃり、年々視界が狭くなっていくことがわかっていました。花嫁姿を母に見て欲しい。それが新婦様の結婚式を挙げる理由でした。私はお二人へご親族様のみの結婚式をご提案。しかし、新郎様は、納得のいかない表情をされていました。

「友人を呼ばない結婚式なら、やる理由がない」と。新郎様は、ご友人様や同僚と過ごすことが結婚式を挙げる理由でした。確かに、ご親族様のみのご結婚式では、新郎様の想いは叶いません。お二人と沢山ご相談をし、友人を招いたパーティーはいつでもできる、でも、もしかしたらお母様に花嫁姿を見せられるのは今だけかもしれない。そう想いをお伝えすると、二人もご納得しご親族様と過ごす結婚式に向かってスタートをしました。しかし、私は新郎様の「友人を呼ばない結婚式ならやる理由がない」という言葉が心に引っかかっていました。どうにか新郎様にやってよかったと感じて欲しい。そう思っていた矢先、ご友人様からお電話がありました。「僕たちに何かできることがないかと思って動画を作ってみました。当日流せますか?」とのご連絡でした。そこから、新郎様に向けたごサプライズの計画がスタート!

ご結婚式当日、挙式では、ベールダウンをするお母様。新婦様の願いがかなった瞬間でした。そしてご披露宴も終盤に差し掛かった頃、新郎様へのサプライズムービーの上映。さらに当日はサプライズで10名以上のご友人様が会場に駆けつけてくれていました。感染対策を大切にされていたお二人のお気持ちを大切にし、ご披露宴が全て結んだ後、開放的な屋上ガーデンにてご対面頂きました。ご友人様の姿を目にした新郎様は涙を流し喜ばれていました。無事お二人の思いが叶う大切なご結婚式を迎えることができました。

1年後、レストランに帰ってきてくださったお二人とお話をしていた時、新郎様から「実は結婚式の半年後、父が亡くなったんです。もしあの日結婚式をしていなかったら僕は父に晴れ姿を見せることができなかったし、感謝を伝えることができないままでした。あの時結婚式をする選択をさせてくれてありがとう。」と、嬉しいお言葉をいただきました。この瞬間、私のしたことは間違っていなかったのだなと安心することができました。結婚式をすべきだと押し付けてしまったのではないかと実はずっと不安でした。でものこの時、心の奥にあった何かがすっと溶け、お二人に向き合い続けてよかったと改めて感じる瞬間でした。

ご自身の仕事にかける流儀・思い

私が大事にしていることが2つあります。

1つ目はお客様を自分の親友や兄妹と考えることです。
これは実は、私たち株式会社ブライド・トゥー・ビーの大切にしている掟の一つでもあります。いつもお客様と接する中で、自分の親友だったら?兄妹だったら?どんな提案をする?どんな言葉をかけるか?と考え続けるということ。担当プランナーは、友達でも家族でもないけれど、お二人の人生において一人しかいないウエディングプランナーという存在です。時には友達のように一緒に笑ってワクワクして、時には家族のように一緒に悩んだり相談したり。そしてウエディングプランナーとして、人生に向き合い、お二人が向き合うきっかけを創り、お二人にとって常に必要な存在であり続ける。その気持ちを大切にしています。

2つ目は、最後まで諦めずに向き合い続けることです。
挙式の1ヶ月前でも、1週間前でも、自分が感じた違和感や、お二人が気にしていることにはとことん向き合い続けます。そして私が少しでも新郎新婦にとって、大切なゲストにとって価値のある時間になるようにお手伝いができることは手を抜かずに最後までやりきります。結婚式当日も、もっと良くなるには、もっと思いを伝えるにはどうしたらいいか。本当にこの時間はお二人の想像以上の価値のある時間になっているか?ずっとずっと考えながら、向き合い続けています。

GWA受賞後の変化(ご自身・周囲)

GWAを通して沢山の方々とより深くつながることができました。
私は、ファイナルの舞台で「ブライダル業界のみんなでいい結婚式を創りたい」とメッセージを伝えさせていただきました。

今回のファイナルのプレゼンでご紹介させて頂いた結婚式のエピソードも、私一人では叶えられなかった結婚式でした。社内での部署を超えたシェフやパティシエの協力はもちろんですが、社外のプランナーとの繋がりや、GWAでの過去のプランニング事例などのお力をお借りして、叶えられた1日でした。

GWAをきっかけに、沢山のプランナーの方々とより繋がるきっかけとなり、これからももっと素敵な結婚式がお手伝いできるのではないかとワクワクしています。
また、様々な方とお会いしていく中で、「西尾さんのプレゼンに勇気をもらいました!」と声をかけていただけることが多く、私の行動が新郎新婦様だけではなく、誰かの背中を押すきっかけになれていたんだなと思うと、とても嬉しいです!

これからも、とことん結婚式に向き合い続け、がむしゃらにプランナーとしてできることを諦めずに突き詰める、そして新郎新婦様やゲスト様にとって本当に価値のある結婚式のお手伝いを続けていきたいです。

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