リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

第14弾 藤迫 正幸さん

第10回目のGOOD WEDDING AWARDでソウル賞を受賞 第10回目のGOOD WEDDING AWARDでソウル賞を受賞

サッカーに明け暮れる学生時代を経て、鹿児島の一流ホテルに就職。レストランウェイターを7年ほど経験し、現在の職場である指宿白水館に転職。レストランにて勤務し、その後、部署異動でブライダル担当へ。現在に至るまでプランナーとしてのキャリアを築く。
GOOD WEDDING AWARD 2015 ・ GOODWEDDING AWARD 2019 でベスト50入り、GOOD WEDDING AWARD 2020 では「ソウル賞」を受賞。

プランナーの仕事を目指したきっかけ

学生生活は、サッカー漬けの毎日で、将来の仕事も特に考えていなかった私。サービス業の世界に入ったきっかけは、高嶋政伸主演の人気ドラマ「HOTEL」でした。ホテルマンを目指して、高校卒業後は鹿児島県のホテルに就職。当時は主にレストラン業務を担当していました。入社して5年目頃からは、結婚式の先導も任されるようになり、毎週、新郎新婦の幸せをつくるお手伝いをさせて頂いておりました。ある日、結婚式の最後にプランナーと全員でお客様にご挨拶をさせて頂いた時のことです。新郎が涙を流しながらプランナーに「あなたのおかげで、幸せな時間を過ごす事が出来ました。本当にありがとうございました」と握手を交わし、新婦はプランナーに泣きながら「ありがとうございました。」とハグするシーンを目にしました。私は、そうした感動の時間に触れる中、プランナーの仕事の魅力を再発見し、自分もプランナーになりたいと感じるようになりました。

新しい環境でチャレンジしたいと、現在の指宿白水館に転職。最初は、レストランで働き、半年後に念願のプランナーになることができました。しかし、旅館のウエディングは当時世間にはまだ馴染みがなく、社内でも手探りであった状況。私はより良い結婚式をつくっていくために、プランナーとして仕事に従事しながら、1時間30分かけてブライダル学校に通い、得た学びをプランニングに生かそうと活動していました。みんなの力で1つの結婚式を創り上げていくワクワク感を考えると、大変だという感情よりも「やってやろう!」という情熱が勝っていたと思います。

印象に残った過去の企画(苦労した経験など)

「コロナ禍だったから式を挙げられなかった」カップルが、後に後悔してしまわないよう、2人だけではなくそのご家族へ自ら説得をしたというエピソードがありました。

コロナ禍になり、2020年のコロナ発生直後は安全を第一に3カ月休館した時もありましたし、結婚式がゼロという時もありました。新型コロナの感染拡大当初は、クラスター発生を懸念し、開催に後ろ向きになりやすいカップルが多かった時期だったと記憶しています。

そんな中、コロナ禍でキャンセルを希望された1組のカップルがいらっしゃいました。新郎新婦とそのご両親は100名規模の披露宴を希望されており、多人数で楽しく過ごすパーティーを求めていらっしゃいました。希望が叶えにくいことに加え、感染への恐れもあり、キャンセルを申し出られたという背景でした。しかし、新郎新婦とお話をしていくうちに、結婚式を通してご両親へ感謝を伝えたいという強い想いを感じ取りました。「結婚式は感謝を受け取る、伝え合う日でもある」ということをなんとしてもご両親にもお伝えしたく、私は新郎に了解を得て、片道2時間を掛けて新郎の実家を訪ねることにしました。

新郎のご実家は農家を営まれていました。私は、農業用の作業服で畑をご訪問。朝から17時のチャイムが鳴るまで、一緒に農作業を手伝いながら、開催への不安や、新郎の生い立ちなど世間話をしながら絆を深めました。

それから3日後、想いが届いたのか、新郎のご両親より「少人数でも家族でお祝いの場を設けたい」とご連絡をいただき、挙式と前撮りの実施が決まりました。“考えるより即行動”あの時なぜあそこまでできたのか、体が勝手に動いていました。

ご自身の仕事にかける流儀・思い

「どんなに厳しい状況でも、結婚式を諦めてほしくない」と考えるようになったのは、私自身の過去の苦い思い出にあります。個人的な話になりますが、私は幼い頃に弟を亡くしており、自身の結婚式で弟の陰膳を用意できなかったことを今でも悔しく思っています。私が結婚したのは、この仕事に就く前で、当時は弟に式を見てほしかったなという想いを抱きながらも叶え方を知りませんでした。大切な家族との一度きりの場面で、全てのカップルに絶対に後悔はしてほしくない!どのような状況であっても、結婚式をする意義がある、その想いで接客に臨んでいます。

また、私がお客様との打ち合わせで心掛けていることがあります。それは、お客様に楽しんでいただき、私の事を知っていただくこと。そして何よりも、新郎新婦を好きになることです。常に自分も結婚式を挙げる気持ちで毎回打ち合わせをしています。私の一番のテーマは「あきらめない+NOと言わない」ことです。お客様のご要望に対し、どうしたらご希望を叶えられるのかを徹底的に考え、最後まで諦めず行動するようにしています。新郎新婦の話に耳を傾けながら、ご両親とも対話するようにしていますが、ご両親との会話を通じて、新郎新婦のことをより深く知ることができると感じています。

GWA受賞後の変化(ご自身・周囲)

7年程前ですが、鹿児島のプランナー同士で集まり、鹿児島のウエディングを盛り上げて行こうと、「鹿児島ウエディング協議会」が発足いたしました。その協議会のイベントで「鹿児島GWA」が開催されることになり、自社はもちろん、ブライダル業界を盛り上げていくことにも貢献していきたいと私自身は感じていました。当初、旅館のウエディング認知度は現在よりも高くなかったため、「印象に残るプレゼンをしよう」と試行錯誤の日々でした。4年目以降の出場は、後輩のサポート役に徹しながら、県内での旅館ウエディングも徐々に浸透してきたかなと感じられるようになった頃、新型コロナウイルスが発生。結婚式の組数も激減し、会社も安全第一のために休館などを余儀なくされました。世の中は未曽有の事態の発生、そんな中、予想だにしなかった1本の電話が!「全国のGWAのファイナリストに選ばれました。」というご連絡でした。これが、2020年度のGWAとの出会いでしたが、とても嬉しい気持ちになった日のことを今でも覚えています。

GWAは、結婚式を見直す素晴らしい大会です。GWAの資料を作成していくことが、1組の婚礼を1から見直す機会にもなりました。結婚式の素晴らしさを再度知ることができ、改めてウエディングプランナーの仕事ってすごい仕事だなと感じました。

GWA2020でソウル賞をいただきましたが、「諦めない」ことをテーマとしている私にとっては、一番意味のある賞でした。県内の大きな新聞にも取り上げていただき、実家や会社にお祝いのお言葉なども沢山いただきましたが、その全てが今の私の宝物です。

人生で最大のセレモニーである結婚式。今後も、何事にも諦めることなく、新郎新婦と向き合い、最高のセレモニーを作り上げていきたいと思います。

最後に、GWAでの結果は、私1人の力ではできるものではありませんでした。結婚式と一緒でみんなの力があったからこそ、今の自分がいると思っています。仲間に感謝です。本当にありがとうございました。

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