リクルートブライダル総研は、結婚に関する調査・研究、未来への提言を通じて、マーケットの拡大と社会課題の解決に取り組みます。

第15弾 仁藤 奈甫子さん

GOOD WEDDING AWARDへのチャレンジが私のブライダル人生のターニングポイントとなった GOOD WEDDING AWARDへのチャレンジが私のブライダル人生のターニングポイントとなった

  • 第12回のGOOD WEDDING AWARDでグランプリを受賞

現在のお仕事内容:エグゼクティブプランナーとして(株)aedamで結婚式のプランニング及び店舗マネジメントや教育・採用を行う。

プランナーの仕事を目指したきっかけ

大学に入る前の夢は海外でCAになることでした。旅行が好きだったこともあり、CAになって世界中を飛び回りたいと思っていたのですが、身長制限で断念。将来の夢を見失っていた時に、ルームメートと一緒にジェニファーロペスの「ウエディングプランナー」という映画を見て、ウエディングプランナーという職業があるということを知りました。

一流プランナーとしてバリバリと仕事をしているジェニファーロペスの姿に憧れて、「私もこんなカッコいい大人の女性になりたい!」とウエディングプランナーを目指すことに。当時、アメリカの大学に通っていた私は、2カ月間の夏休みを利用して日本に一時帰国。横浜のウエディングプランナースクールに10回ほど通ってブライダルの勉強をしました。授業の一環で式場での模擬挙式や模擬披露宴に参加をさせて頂き、結婚式の魅力に触れて結婚式の虜になってしまった私は「絶対ウエディングプランナーになる!」と固く決意。

帰国後、就職についてはゆっくり考えればいいと思っていたのですが、兄が結婚式を挙げる予定のホテルへ母と下見がてらご挨拶に行った際に、当時の婚礼課支配人から声を掛けて頂きご縁があって就職をすることに。希望通りのブライダル課への配属となりました。

就職活動もしたことがなく、アルバイト経験すらあまりなかった私は、敬語も使えない、最低限のビジネスマナーも知らないとあまり褒められた新人ではなかったと思います。しかし当時私の教育担当になってくださった先輩は、そんな私に対していつも優しく指導をしてくださり、妹のように私のことを可愛がってくださいました。「この先輩みたいになりたい。先輩の為にも絶対に早く一人前のウエディングプランナーになりたい」と奮起をした私は、新規接客や打合せを猛特訓!上司や先輩のお陰で、無事に一人前のウエディングプランナーになることが出来ました。そして私のプランナーデビューは大好きな兄の結婚式!最高の形でプランナー人生をスタートすることが出来ました。

印象に残った過去の企画(苦労した経験など)

「大好きな甥が安心して楽しめる結婚式にしたいんです」
新婦様から新規来館時にそんなご希望を頂きました。甥っ子さんはダウン症児。
「リングボーイをやって欲しいけど、初めての場所や知らない人に囲まれてしまうと、不安になって泣いてしまうかもしれない。何かいい方法はないでしょうか?」と、結婚式の演出や装飾などとは違うご要望を頂いたことがありました。

ダウン症のお子様が安心して結婚式を楽しめる為に、私には何ができるのだろうか?とても悩みました。当日、お待合室や会場などに、お子様の大好きなおもちゃを置こうか?楽しんでもらえるようなキッズスペースを各所に用意する?この提案だと、当日、結婚式に来てからでないと安心出来るかどうかわからない。何か違う気がする。安心して来て頂く為に、むしろ結婚式に参加することを楽しみにしてもらえるには私に何が出来るのだろうか?
私が出した答えは、式場に事前にいっぱい来てもらって、私とも他のスタッフとも仲良くなって式場にも慣れてもらうことでした。

結婚式当日までに甥っ子さんと私がお友達の関係になれていたら、きっと甥っ子さんは不安にならずにリハーサルが出来るし、結婚式を楽しめると考えたからです。この提案に、新婦様も甥っ子さんのお母様(新婦のお姉様)も「なるほど!それはいいと思う!けど、式場ってそこまでやってくれるんですね」と驚いてくださいました。
来店の度に、甥っ子さんは式場に慣れていき、スタッフともどんどん仲良くなっていき、いつしか私の顔を見ると手をのばして喜んでくれるようになりました。結婚式が近づいてきた頃にはすっかり式場が大好きに。楽しそうに過ごすお子様のご様子を見て、新婦も、新婦のお姉様も不安より、楽しみの方が大きくなっていかれたようでした。

リングボーイのリハーサルも当日のみではなく前日にも行いました。本番でドレス姿の新婦に驚かないように、チャペルでドレスを見せたり、当日使用する車に何度も乗って練習をしたり、出来るかぎり当日に近いイメージでリハーサルを行うことが出来ました。その甲斐があってか、結婚式の本番ではママと離れて、私と一緒にチャペルの扉の外にいるときにもニコニコ笑顔不安なんて微塵も感じさせない、天使のようなスマイルで見事リングボーイの大役を果たしてくれました!

この結婚式を通して、改めてウエディングプランナーの柔軟性について考えました。お客様から難しいリクエストを頂いた時に、プランナーがどう捉えるのか。出来る理由を探すのか、出来ない理由を探すのか。私はこの先もお客様から頂いたリクエストには120%応えられるプランナーで居続けたいと思っています。

ご自身の仕事にかける流儀・思い

私が結婚式をプランニングさせて頂く上で大切にしていることは、「結婚式を通して、2人の未来を豊かにする」という思いを持ってプランニングをするということです。
私は、結婚式の準備期間は、2人が夫婦になる為の準備期間だと思っています。
結婚式をしなくても、何の準備がなくても婚姻届けを提出すれば法律上は夫婦にはなれますが、私は結婚式をしたからこそ夫婦の絆は強くなり、その夫婦の未来をもっと豊かにすることが出来る、そう考えています。

それはもちろんお金のこともそう。相手はお金についてどんな風に考えているのか、どんな使い方をするのか。聞きづらいことや、答えづらいこともあるとは思いますが、2人が夫婦としてスタートをする為に、この準備期間の過ごし方が、2人の未来にとってとても大切な時間だと思っています。その中で、私が特に大事にしていることは、2人の理想の夫婦像を描いてもらうことです。

夫婦もダイエットと同じで、ただなんとなく「痩せたい」と言っていても、いつまでも痩せないように(笑)「いつか素敵な夫婦になりたいよね。」と言っていても、理想とする夫婦像をちゃんと話し合っておかないと、お互いの理想の夫婦像が違い、すれ違ってしまうこともあると思います。そのため、私は必ず2人で真剣に互いの考える理想の夫婦像を話し合っていただいて、1つの夫婦としての答えを打合せの時に持ってきてもらうようにしていきます。そして、2人が出したその答えを聞いて、そんな夫婦になる為のスタートラインへ導いていく。それは、私がウエディングプランナーだからこそ出来る、とても大切な役割だと考えています。2人が人生の幕を閉じるとき「自分たちは幸せな家族だった」と思って頂けて、少しでも私の存在がそのお役に立てていたならば、ウエディングプランナーとしてそんな幸せなことはありません。

GWA受賞後の変化(ご自身・周囲)

私がGWAではじめてファイナリストとして登壇をさせて頂いたのは、2019年。
この時私はプランナー歴が15年目で、プランナーとして色んな経験もさせて頂いており、お恥ずかしながら、自分のプランニングに自信を持ち始めていた頃でした。

しかし、GWAで他のファイナリストの方のお話を聞いたり、過去のファイナリストの方たちのご活躍や結婚式のお考えに触れる中で、「私は何を勘違いしそうになっていたんだ」と、自分がまだまだであること、もっとやるべきことが目の前にたくさんあるということに気づかせて頂きました。
自分を変える事、出来ていないことを受け入れることは、簡単なことではありませんでした。しかし、ここで受け入れなければ私はこれ以上成長出来ないと思い、今の自分を受け入れて、これから先どうなりたいのか、自身と向き合ってみました。

私はもっといい結婚式が作りたい。もっと学びたい。小さなプライドを捨てて、一から結婚式のことを学び直そうと決意し、私のブライダル人生は再スタートとなりました。
GWAで出会った荒井さんや佐伯さん(佐伯さんの仕事の流儀GWA2022殿堂入り記念講演)のプランニング研修を受けさせて頂いたり、色んなセミナーに参加をしたり、世界が広がったことでたくさんの学びがあり、自身のプランニングを磨くことが出来ました。今までより、深く新郎新婦様のことを知ることが出来るようになり、お二人にとっての的確な進行を提案出来るようになっていきました。明らかに自分が創り上げる結婚式が変わっていると実感することができ、プランニングの成長に一番驚いたのは私自身だったと思います。そんな中で、2022年、3回目のGWAへのチャレンジをさせて頂く事になりました。

発表させて頂いた結婚式は、自身の今持てるすべての力を込めてプランニングしたと心から自信を持って言える結婚式でした。ここまで自信を持って言い切れるような結婚式を作る事が出来たのは、GWAとの出会いがあり、自分のプランニングを見つめ直し、改め、私自身が変わることが出来たからだと思っています。

そして、グランプリという素晴らしい賞を頂くことができ、今まで関わってくださった皆様への感謝を感じるとともに、頑張ってきた自分を褒めてあげたいと思う事が出来ました。
賞を頂けた喜び以上に、今回嬉しく感じたことは、同じ思いを持ってこの結婚式にかけている仲間が増えたことです。今回もたくさんの学びをファイナリストの仲間から頂けたことに心から感謝をしています。

私は今年で40歳になるのですが、まだまだ自分は成長途中だと思っています。年齢なんて関係ない!強い思いさえあればいつでも人は変わることができ、成長できる。今、立ち止まってる人、自身のプランニングに悩んでいる人がいたら、ぜひこの言葉を贈りたい。
「いつ変わるの?今でしょ」(笑)

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